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三谷流構造的やわらか発想法

鉄道は、なぜ曲がる?縁の下の車輪たち

三谷宏治 [K.I.T.虎ノ門大学院主任教授]
【第111回】 2015年4月30日
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なぜマイナーネタ「鉄道レールの第2の人生」がうけたのか!?

 3/19公開の第108講では「福井と北陸新幹線(3/14開業)」を扱い、4/2公開の第109講では「桜の危機(ソメイヨシノが東京では3/29満開)」を取り上げ、当講座、歴代トップクラスのアクセスや「いいね!」を叩き出しました。時事ネタ、季節ネタの勝利ともいえましょう。

 その箸休めと思って書いた前回の第110講「鉄道レールの第2の人生」でしたが、これまたビックリするほどの「いいね!」をゲット(*1)……。調べてみると、多くの鉄道関係Twitterアカウントで(半自動的に)リツイートされ、さまざまなニュースサイトでトップ記事になり、またその後、Facebookページの「土木学会」(1.4万人が「いいね!」をしている)でそれが投稿されて瞬く間に400以上の「いいね!」と30以上の「シェア」が生まれました。中には「これ土木でなく建築ネタじゃね?」という冷静なコメント付きで。

 「鉄道での古レールが駅舎などの建築材に使われてきた」という、いわばオタクの三重構造(鉄道好き×古いモノ好き×建築好き)のような超マイナー路線のはずでしたが、それこそが粋人らの琴線に触れ、Tweetやシェア、そして「いいね!」につながったのでしょう。

 まあ、こういった「うけた原因分析」はともかく、いくつか質問を受けました。その代表が「なぜフランジ付き車輪にしたら脱線が減るのか」でした。

なぜフランジ付き車輪は脱線しにくいのか?

 確かに「ウィリアム・ジェソップによるフランジ付き車輪の発明によって、劇的に脱線が減った」と書きました。それまでフランジは車輪でなくレール側に付いていました。それを車輪側にしたことで脱線しなくなったのだと。

 不十分な記述でした。訂正します。脱線が減ったのは、「勾配付き車輪」と「内側フランジの車輪」のお陰です。

 そもそもなぜ鉄道が脱線しやすいかといえば、曲がるときに外側の車輪と内側の車輪の進む距離がズレるからです。線路の幅(軌間=ゲージ)は106.7cm(JR在来線)ですから、進路を90度変えようと思えば、線路の外周と内周の差は2×106.7×3.14÷4=168cmになります。

 車輪の直径は89cmくらいですから、放っておけば90度の進路変更の間に内輪か外輪が、ほぼ0.6回転分、空転することに!

 外輪と内輪は車軸で固定されていますから、内輪側にはより速く進もうとする力が、外輪側にはブレーキのような力がかかることになります。つまり曲がる(=外側が速く、内側が遅い)のではなく、直進しようとする(=脱線する)力がかかる(*2)わけです。

 勾配付き車輪がそれを根本的に変えてくれます。

*1 Facebook「いいね!」数は、第108講「北陸新幹線」が979、第109講「桜」が1289、第110講「レール」が769。各々歴代2位、1位、3位。
*2 自動車は左右の車輪(駆動輪)が違う速度で回転できるように、途中に特殊なギア(ディファレンシャル・ギア)がある。

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三谷宏治 [K.I.T.虎ノ門大学院主任教授]

1964年大阪生まれ、福井育ち。小1のとき読書と読みかじりを人に教える快感に目覚め、駿台予備校では教えることの技術に衝撃を受ける。東京大学 理学部物理学科卒業後19年半、BCG、アクセンチュアで戦略コンサルタントとして働く。2003年から06年までアクセンチュア 戦略グループ統括。途中、INSEADでMBA修了。
2006年から教育の世界に転じ、社会人教育と同時に、子どもたち・親たち・教員向けの授業や講演に全国を飛び回る。「決める力」「発想力」と「生きる力」をテーマに毎年8000人以上と接している。現在K.I.T.(金沢工業大学)虎ノ門大学院 主任教授(MBAプログラム)の他に、早稲田大学ビジネススクール、グロービス経営大学院、女子栄養大学で客員教授、放課後NPO アフタースクール及びNPO法人 3keys 理事を務める。永平寺ふるさと大使。
著書多数。『一瞬で大切なことを伝える技術』(かんき出版)は啓文堂書店2012ビジネス書大賞、『経営戦略全史』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)はダイヤモンドHBRベスト経営書2013第1位、ビジネス書大賞2014大賞、『ビジネスモデル全史』(同)はHBRベスト経営書2014第1位となった。
HPは www.mitani3.com

 

 


三谷流構造的やわらか発想法

発想法ってなんのために存在するのでしょう? ヒトと違うアイデアや答えを出すためです。統計的に有意な戦略なんて、定義により無価値ですし、統計的に正しい発想法なんてあるわけがありません。発想に「普遍性」や「高確率」を求めるなんてそもそも矛盾しているのです。発想法も、然り。これまでと違うものを生み出すには、新しい発想法がいま求められているのです。

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