IoTがビジネスを変える!|ダイヤモンド・オンライン
経営のためのIT
【第41回】 2015年5月1日
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内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]

IoTのビジネス価値
――イノベーションにつなげるには

スマートデバイス、クラウド、ビッグデータといった先進ITの普及に伴い、IoTを実現するうえでの技術的障壁が飛躍的に下がった。IoT活用による成功事例は国内外で多種多様な業種に及んでいる。ここでは、技術動向に加えてIoTのビジネスにおける価値を掘り下げる。

無線通信の普及で
実現したIoT

 IoT(Internet of Things)という考え方が浸透してきている。日本語で「モノのインターネット」と訳されることが多い、このIT/ネットワーク分野における最新動向は、特定のテクノロジー、製品やソリューションを指すのではなく、あらゆるモノがインターネットに接続することによって実現する世界を指している。

 元来、インターネットに接続するデバイスはコンピュータや通信機器に限られていた。しかし、携帯電話(フィーチャーフォン)がインターネットにつながるようになり、携帯通信モジュールを搭載した機器がインターネットにつながるようになった。スマートデバイス(スマートフォン/タブレット)は個人がいつでもどこでもインターネットにつながることを可能にし、ソーシャルメディアの隆盛も伴って、一日中インターネットに繋がっている個人は珍しい存在ではなくなった。

 現在では、テレビ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルオーディオ、ハードディスクレコーダー、家庭用ゲーム機などのデジタル家電の他、自家用車、自動販売機などもインターネットに接続するのは一般的になっている。また、直接インターネットに接続するのではないが、スマートフォンと通信を行う家電製品も少なくない。今後、多種多様なデバイスがインターネットに接続されることは間違いない。世界中のあらゆるデバイスや人がデジタル情報を基につながる世界はもはやSFの話ではなく、現実のものになりつつあるのだ。

 IoTというコンセプトが登場する前に、М2М(Machine to Machine)という考え方が提唱された。この「機器対機器通信」を意味する単語は比較的新しいが、考え方自体は古くから存在していた。個々の機器が独立して動作するだけでなく、何らかの形で相互通信を行っていることはいまや珍しくない。しかし、従来はEthernetをはじめとする有線通信を媒体としていたために、その接続範囲は工場内、倉庫内や店舗内といった狭い空間に限られていた。

 しかし、この状況は無線通信の普及により一変した。Wi-Fiをはじめとする無線通信が一般化したことで、離れた場所にある機器同士の通信も可能となった。機械同士の通信以外には、機械と人間との通信も重要である。スマートフォンや携帯電話を介して人間が情報をやりとりしたり、システムにデータを集積することも一般的となっている。この通信形態を「М2P(Machine to Person)」と呼ぶ。М2МとМ2Pを包含するコンセプトとしてIoTと呼んでいる。厳密に言えば、М2МもМ2Pもインターネットのようなオープンネットワークの接続は必須ではなく、閉域網の通信もよく用いられる。しかし、М2МとМ2Pを総称してIoTと呼ぶことが一般的となっている。

SPECIAL TOPICS

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。現在は大手ユーザー企業のIT戦略立案・実行のアドバイスおよびコンサルティングを提供する。


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日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

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