ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
自分の小さな「鳥カゴ」から飛び立ちなさい
【第17回】 2015年5月13日
著者・コラム紹介バックナンバー
河合江理子 [京都大学国際高等教育院教授],水永政志 [スター・マイカ株式会社代表取締役会長]

【特別対談】
日本の一流商社の名前が通用しない
MBAで気づかされた世界の多様性
スター・マイカ株式会社代表取締役会長・水永政志×京都大学大学院総合生存学館(思修館)教授・河合江理子

1
nextpage

ハーバード大学卒業後、マッキンゼー、BIS、OECDなどを経て、現在は京都大学の教壇に立つ河合江理子氏と、ボストン・コンサルティング・グループ、ゴールドマンサックス証券を経て、スター・マイカ代表取締役会長を務める水永政志氏による対談。日本、そして世界を知る両氏から、これからの時代に求められる人材像などが語られた。対談は全4回。

三井物産の名前すら通用しなかった当時の世界

河合 私たちがお会いしたきっかけは、京都大学の木谷哲生先生からのご紹介でしたね。木谷先生のお話を伺った翌日に水永さんの授業があると聞き、参加させていただいたらとてもダイナミックでおもしろかったことを覚えています。

水永 それがスタートでしたね。私の授業を2回も聞いていただきましたが、ものすごく緊張しましたよ。

河合 まったくそうは見えなかったですが。私もスイスから京大に着任したばかりで、学生のレベルや興味、授業方法を模索していた時でしたので、大変参考になりました。

水永 こちらは金融のプロが目の前に座っているので、間違った話はできないというプレッシャーが……(笑)。

河合 それからは、私の「Global Career Management」という授業のゲストとして、水永さんにお越しいただき、英語で授業をしていただきました。

水永 そのときもプレッシャーを感じました。「それぐらいのことできなかったら、水永さん、もう仕事ないですよ」と言われて(笑)。

河合 いやいや、謙遜されますけど、本当に英語がお上手でした。「英語得意です」と言ってしまうレベルだと思います。

水永 謙遜ではなくて、本当に苦手なんですよ。能力を総動員して、一生懸命話しているので、やはり苦手意識はあります。

河合 それはわかります。私も、日本にいて日本語だけを使っているときに、突然、「英語で話してください」と言われても少しひるみます。

水永 ありますね。切り替えが難しい。ただ、1日ずっとやっていると、夕方には慣れてきます。だからこそ、90分だけ英語でとなると大変でした。その直前まで日本語で話しているので。

河合 グローバルキャリアの授業では、水永さんのサクセスストーリーと苦労話の両方をうかがいました。おもしろかったのが、大学を卒業してから三井物産に入社されて、そのあとに留学されたときのエピソードです。「Mitsui&Co」の名前をほとんどの学生が知らないことに衝撃を受けたとお話されていましたね。

水永 あれには衝撃を受けましたね、知られていなかったこともそうですが、日本人の間で常識とされている、「日本の一流企業は、世界でも当然、誰もが知っている」という物差しが、海外に行ったら全然通用してないことに驚いたんです。

 それはよし悪しではなく、今まで日本で自分が信じていたものは幻想で、グローバルにはないのかもしれないという気づきを得たことが大きかったです。そこで、グローバルの物差しとは何か、それを見なければいけないと考えました。アメリカに行くまでは、見る気もありませんでしたから。

1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
いまの科学で「絶対にいい!」と断言できる 最高の子育てベスト55

いまの科学で「絶対にいい!」と断言できる 最高の子育てベスト55

トレーシー・カチロー 著/鹿田 昌美 訳

定価(税込):本体1,600円+税   発行年月:2016年11月

<内容紹介>
子どもの豊かな心を育て、頭と体を伸ばしていくために親が知っておきたいことについて、最新の科学研究をもとに「最も信頼」できて「最も実行しやすい」アドバイスだけを厳選して詰め込んだ貴重な本。子にかけるべき言葉、睡眠、トイレトレーニング、遊び、しつけまで、これ一冊さえ持っていれば大丈夫という決定版の1冊!

本を購入する
ダイヤモンド社の電子書籍
(POSデータ調べ、11/20~11/26)


注目のトピックスPR


河合江理子(かわい・えりこ) [京都大学国際高等教育院教授]

東京都生まれ。東京教育大学附属高等学校(現筑波大学附属高等学校)を卒業後、アメリカのハーバード大学で学位、フランスの欧州経営大学院(INSEAD)でMBA(経営学修士)を取得。その 後、マッキンゼーのパリオフィスで経営コンサルタント、イギリス・ロンドンの投資銀行S.G. Warburg(ウォーバーグ銀行)でファンド・マネジャー、フランスの証券リサーチ会社でエコノミストとして勤務したのち、ポーランドでは山一證券の合 弁会社で民営化事業に携わる。1998年より国際公務員としてスイスのBIS(国際決済銀行)、フランスのOECD(経済協力開発機構)で職員年金基金の運用を担当。OECD在籍時に はIMF(国際通貨基金)のテクニカルアドバイザーとして、フィジー共和国やソロモン諸島の中央銀行の外貨準備運用に対して助言を与えた。その後、スイス で起業し、2012年4月より現職。著書に『自分の小さな「鳥カゴ」から飛び立ちなさい』(ダイヤモンド社)がある。

水永政志(みずなが・まさし) [スター・マイカ株式会社代表取締役会長]

1964年生まれ。広島大学附属福山高等学校、東京大学農学部農業経済学科を経て、三井物産に入社。UCLA経営大学院で経営学修士(MBA)を修得したのち、ボストン・コンサルティング・グループで経営コンサルティング業務、ゴールドマン・サックス証券でプライベートバンク業務を担当し、先端金融商品の開発や資産運用に携わる。2000年、ピーアイテクノロジー(現いちごグループホールディングス)を設立。2002年、中古マンションへの投資を主要業務とするスター・マイカを創業し、現在に至る。 スター・マイカは、2006年に、大阪証券取引所ヘラクレス市場(現大阪証券取引所JASDAQ(スタンダード))に上場し、2011年には、世界的な競争戦略論の第一人者であるマイケル・ポーター教授より、独自性のある優れた競争戦略を実践する企業に与えられる「ポーター賞」を受賞。著書に『現役経営者が教える ベンチャーファイナンス実践講義』(ダイヤモンド社)がある。


自分の小さな「鳥カゴ」から飛び立ちなさい

ハーバード大学、INSEAD(欧州経営大学院)、マッキンゼー、BIS(国際決済銀行)、OECD(経済協力開発機構)…そして、京都大学教授。『自分の小さな「鳥カゴ」から飛び立ちなさい』の刊行を記念して、書籍では語り尽くせなかったエピソードを中心に、日本・アメリカ・ヨーロッパの本物の世界を知る日本人が、国境を越えて生きるための武器と心得を語る。

「自分の小さな「鳥カゴ」から飛び立ちなさい」

⇒バックナンバー一覧