就職活動まっただ中、リクルートスーツ姿の大学生もあちこちで見かける。2016年卒は、先輩たちとはスケジュールややり方が大きく変わったと言われるが、実際のところはどうなのか。2500人以上の大学生や社会人のキャリアデザイン、就職や転職、キャリアチェンジのサポートをし、企業の人事採用事情にも詳しい我究館館長の熊谷智宏氏にお話を伺った。
今から本格スタート!
「就職活動の後ろ倒し」第一期生
「就職活動の早期化」という言葉を耳にしたことのある人も多いだろう。この社会問題を改善すべく、2016年卒業予定の学生を対象とした新卒採用からスケジュールの大幅繰り下げが行われた。現在、就職活動をしている学生たちがその初年度にあたる。
我究館館長。横浜国立大学を卒業後、(株)リクルートに入社。2009年、(株)ジャパンビジネスラボに参画。現在までに2500人を超える大学生や社会人のキャリアデザイン、就職や転職、キャリアチェンジのサポートをしてきた。難関企業への就・転職の成功だけなく、MBA留学、医学部編入、起業、資格取得のサポートなど、幅広い領域の支援で圧倒的な実績を出している。また、国内外の大学での講演や、執筆活動も積極的に行っている。著書に『絶対内定』シリーズがある。
(撮影/宇佐見利明)
というわけで、学生は今まさに、説明会やエントリーシートの提出、面接、OB・OG訪問に追われているところだ。
「就職活動の後ろ倒し」は学生と採用側にとって、何をもたらしたのか。または何が解決され、何が課題なのか。我究館という学生向けの就職支援スクールを運営し、日々学生や人事・採用担当者と話をする中で感じることや、全国の大学で講演を行う中で見聞きしたことを元に、「最新就活事情」について、数回にわたってお伝えしたい。
就活後ろ倒しで変わった2つのこと
「就活後ろ倒し」による、スケジュールの変更点をおさらいしてみよう。
経団連加盟企業、いわゆる大手企業のほとんどは、このスケジュールに基づき動いている。
変更点の1つ目は、採用情報や説明会情報の解禁が後ろ倒されたこと。前年までは、学部3年生(修士1年生)の12月に解禁されていたそれらの情報が、3月に3ヵ月繰り下げられた。
2つ目は、採用選考(面接)の開始が、学部4年生(修士2年)の4月だったものが、8月に変更されたことだ。
これらの狙いは、学生が大学3年生までしっかり勉強ができるようにすることや、留学をしやすくすることが狙いだった。では、実際のところはどうだろうか。