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自分の小さな「鳥カゴ」から飛び立ちなさい
【第19回】 2015年5月20日
著者・コラム紹介バックナンバー
河合江理子 [京都大学国際高等教育院教授],水永政志 [スター・マイカ株式会社代表取締役会長]

【特別対談】
日本の“変な掟”を知ることにも価値はある
起業前に大企業で経験を積むべき理由
スター・マイカ株式会社代表取締役会長・水永政志×京都大学総合生存学館(思修館)教授・河合江理子

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ハーバード大学卒業後、マッキンゼー、BIS、OECDなどを経て、現在は京都大学の教壇に立つ河合江理子氏と、ボストン・コンサルティング・グループ、ゴールドマンサックス証券を経て、スター・マイカ代表取締役会長を務める水永政志氏による対談。日本、そして世界を知る両氏から、これからの時代に求められる人材像などが語られた。対談は全4回。

リスクを負わないベンチャー経営者への疑問

河合 私の授業でお話しいただいたとき、学生時代の起業だけではなく、2度目に起業したときのお話もうかがいました。

水永 ゴールドマン・サックスを退職して最初の起業ですね。失敗したほうの(笑)。

河合 一度、事業に失敗してからは、まずは小さく始めることを学んだというお話は学生からも反応が良かったですよ。そのときに、リスクに対する考え方が変わったんですか?

水永 それは明らかに変わりましたね。本当の意味での失敗は、それが初めてだったかもしれません。崖っぷちまで行ったのはね。ここまで落ちるのかと思いましたよ。毎月、何千万円も出ていくわけです、自分の財布から。その恐怖を目の当たりにする経験は普通ありませんよね。

河合 本当にそうですね。

水永 今のベンチャーの中には、自分のお金は安全なところに置いておいて、自分の貯金にはなるべく手を付けない経営者も多いように感じます。

河合 株主からお金をもらう(笑)。

水永 そう。ほんの一部を自分で出して、あとは株主からです。うまいこと高いバリュエーションで入れてね。

河合 そうですね。

水永 ベンチャーキャピタル(VC)からもさらに高いバリュエーションで入れて、自分は入れない。さらに、会社は赤字なのに給料はたっぷり取ったり、会社の経費をたくさん使ったり。それはとてもサラリーマン的な起業だと思います。そしてそのケースでは、「失敗しても株主は自己責任だ」と言ってまったく悪びれない人が多いです。

河合 マーケットが良ければ、それも許されるんでしょうね。

水永 そう、それに気がつく子がいます。そのほうがいいじゃないか、安全じゃないかと。ある意味では賢い起業家かもしれません。それは構いませんが、本当の背水の陣ではありませんよ。私の場合、ある程度行くとこまで行ってしまったので、引けない感じでした。このまま行くと自分もドボンしなきゃいけなという恐怖感を見てからの2回目は、すごく慎重になりましたね。

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河合江理子(かわい・えりこ) [京都大学国際高等教育院教授]

東京都生まれ。東京教育大学附属高等学校(現筑波大学附属高等学校)を卒業後、アメリカのハーバード大学で学位、フランスの欧州経営大学院(INSEAD)でMBA(経営学修士)を取得。その 後、マッキンゼーのパリオフィスで経営コンサルタント、イギリス・ロンドンの投資銀行S.G. Warburg(ウォーバーグ銀行)でファンド・マネジャー、フランスの証券リサーチ会社でエコノミストとして勤務したのち、ポーランドでは山一證券の合 弁会社で民営化事業に携わる。1998年より国際公務員としてスイスのBIS(国際決済銀行)、フランスのOECD(経済協力開発機構)で職員年金基金の運用を担当。OECD在籍時に はIMF(国際通貨基金)のテクニカルアドバイザーとして、フィジー共和国やソロモン諸島の中央銀行の外貨準備運用に対して助言を与えた。その後、スイス で起業し、2012年4月より現職。著書に『自分の小さな「鳥カゴ」から飛び立ちなさい』(ダイヤモンド社)がある。

水永政志(みずなが・まさし) [スター・マイカ株式会社代表取締役会長]

1964年生まれ。広島大学附属福山高等学校、東京大学農学部農業経済学科を経て、三井物産に入社。UCLA経営大学院で経営学修士(MBA)を修得したのち、ボストン・コンサルティング・グループで経営コンサルティング業務、ゴールドマン・サックス証券でプライベートバンク業務を担当し、先端金融商品の開発や資産運用に携わる。2000年、ピーアイテクノロジー(現いちごグループホールディングス)を設立。2002年、中古マンションへの投資を主要業務とするスター・マイカを創業し、現在に至る。 スター・マイカは、2006年に、大阪証券取引所ヘラクレス市場(現大阪証券取引所JASDAQ(スタンダード))に上場し、2011年には、世界的な競争戦略論の第一人者であるマイケル・ポーター教授より、独自性のある優れた競争戦略を実践する企業に与えられる「ポーター賞」を受賞。著書に『現役経営者が教える ベンチャーファイナンス実践講義』(ダイヤモンド社)がある。


自分の小さな「鳥カゴ」から飛び立ちなさい

ハーバード大学、INSEAD(欧州経営大学院)、マッキンゼー、BIS(国際決済銀行)、OECD(経済協力開発機構)…そして、京都大学教授。『自分の小さな「鳥カゴ」から飛び立ちなさい』の刊行を記念して、書籍では語り尽くせなかったエピソードを中心に、日本・アメリカ・ヨーロッパの本物の世界を知る日本人が、国境を越えて生きるための武器と心得を語る。

「自分の小さな「鳥カゴ」から飛び立ちなさい」

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