ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
元経産官僚・伊藤慎介の“天落”奮闘記

大学“発”ではなく大学“着”ベンチャーこそ正しい姿

大企業出身者の転身がエコシステム確立に不可欠

伊藤慎介 [株式会社rimOnO(リモノ)代表取締役社長]
【第5回】 2015年2月4日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 起業して6ヵ月目に入り、具体的に試作車を作る段階に入った。

 今回は、新しい乗り物の開発に挑戦しているベンチャー企業としての体験から感じたことを述べたい。

 筆者が起業した会社では、小さくて便利な新しい乗り物を開発しようとしている。しかし、世の中には自転車、バイク、軽自動車、乗用車などさまざまな乗り物が売られており、加えてバス、鉄道、タクシーなどあらゆる交通手段が提供されている。

 そのなかで、法規を満たし、社会的に受け入れられる乗り物を新たに作ることは簡単なことではない。まさに、どうやってその難題を解くかというのが、当社に与えられた使命だと信じて、そのことばかりを考える毎日を送っている。

 簡単には答えの出せない壮大な問いではあるが、答えは必ず見つかるだろうと前向きに考えている。なぜなら、世の中にはまだまだ満たされていない移動のニーズがたくさん残っている上に、今後、少子高齢化や一極集中が進むと、満たされない移動のニーズがさらに増えていくことは間違いないからだ。

守られた型を破り、そこから離れる
起業プロセスは「守破離」そのもの

 試作車を作る段階に入り、自動車関係者とのミーティングが増えるようになったが、あるミーティングにおいて、パートナーの根津が発した言葉が胸に刺さった。

 「守破離というじゃないですか。自動車の常識を覆す新しい乗り物を作れるのは、自動車の作り方を熟知した人間じゃなければならないんですよ」

 つまり、既存の自動車がどういう思想と、どういう仕組みで作られているのかということを熟知していなければ、新しい乗り物を作る際に、どの機能は絶対に必要で、逆にどの機能は変えたり省いたりしても良いのかという判断ができないということだ。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

伊藤慎介 [株式会社rimOnO(リモノ)代表取締役社長]

いとう・しんすけ/株式会社rimOnO(リモノ)代表取締役社長。1973年生まれ。京都大学大学院工学研究科卒業後、1999年に通商産業省(現、経済産業省)に入省。経済産業省では、自動車用蓄電池の技術開発プロジェクト、スマートハウスプロジェクト、スマートコミュニティプロジェクトなどの国家プロジェクトを立ち上げた後、2011~2013年には航空機武器宇宙産業課において航空機産業政策に従事。2014年7月に経済産業省を退官し、超小型電気自動車のベンチャー企業、株式会社rimOnOをznug design根津孝太と共に設立。


元経産官僚・伊藤慎介の“天落”奮闘記

経済産業省の官僚としてキャリアを積んできた伊藤慎介氏。しかし、新しいコンセプトの電気自動車を世に出すべく退官。株式会社rimOnOを設立した。官僚として定年まで勤めて政府系団体のポストに就くのが“天下り”だが、伊藤氏は官僚という“天”の地位から“下る”のではなく自ら“落ち”、リスクを背負って起業した。しかし、伊藤氏はそれによって産業政策についての新たな視点を得た。本連載では今の日本に求められるイノベーションとは何なのか、新たな産業の創造には何が必要なのか、官僚を辞めリスクをとって起業し、奮闘したからこそ見えてきた視点・視角をお届けする。

「元経産官僚・伊藤慎介の“天落”奮闘記」

⇒バックナンバー一覧