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魚食王国ニッポン~元気をつくる「浜のめし」 池田陽子

経済効果は8億円!
「炙り重」で生まれ変わった宮崎カツオ

池田陽子 [食文化ジャーナリスト/薬膳アテンダント]
【第14回】 2015年5月11日
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「宮崎初かつおフェア」のポスター

前回紹介した「宮崎初かつおフェア」がスタートしたのは2005年。「宮崎初かつおフェア実行委員会」が、“近海かつお漁日本一”を旗印に、カツオ、ひいては宮崎の魚全体の認知度向上、魚価向上に努め、消費・ビジネス拡大をはかることを意図に企画したものだ。

 例年3月から5月までの期間中、宮崎市内を中心に県内外の鮮魚店、大型量販店、飲食店、ホテルなどが参加して、かつおやかつお料理を販売・提供し、旬の美味しさをアピールする。

 それまで、宮崎の水産業に関わる機関で構成される「宮崎のさかなビジネス拡大協議会」(旧いきいき宮崎のさかなブランド確立推進協議会)で積極的にフェアが開催されていたのは、宮崎県が認証したブランド魚「宮崎カンパチ」だった。

 「脳からドリルで活き締めにした鮮度の高いカンパチで、確かに美味しいです」

 しかし、宮崎魚市場副社長の下野和文さん(現「宮崎初かつおフェア」実行委員会会長)はカツオのことが気になっていた。

高知の「カツオのたたき」に負けない!
“宮崎ならでは”のカツオ料理とは?

 「宮崎のカツオは、(近海かつお一本釣り)漁獲量日本一ですよ。もっと大々的に推したほうがいいんじゃないかと提案したんです」

 かくしてカツオが議題にあがり、県漁連と流通機関が強いタッグを組んだ「宮崎初かつおフェア実行委員会」が発足。宮崎の初カツオ普及を目指すことになった。委員会では県内の鮮魚店や飲食店などに初カツオ料理を販売・提供し、ポスターやのぼりを掲げるフェア加盟店を募集。「宮崎は近海かつお一本釣り日本一!」の掛け声で募ったものの、反応は「だから?」というものだった。

 「最初はなかなか加盟店が増えずに大変でした……」と下野さん。いまいちの反応に、委員会では初年度は無料で料理用のカツオを支給する大盤振る舞いで、なんとか約100店舗をかき集めた。しかし、フェアはどうも盛り上がりに欠けていた。

 「高知の場合は『カツオのたたき』という明確な食文化がありますが、宮崎の場合、刺身で食べるのがよしとされていました。だから、フェアの柱になるカツオ料理が存在せず、インパクトがなかったんです」。

新鮮なカツオを皮付きのまま強火で炙る「焼っ切り」。カツオのたたきとはまた違う味わいがある

 そこで委員会では消費者を盛り上げるために、カツオ料理の開発に取り組んだ。カツオカレーをはじめ、カツオと野菜を一緒に食べる「カツオカルパッチョ」はどうかと専用ドレッシングまで開発したが、なかなかコレという料理が出てこない。そんななか、会員から提案されたのがカツオ漁師ならではの食べ方、新鮮なカツオを皮付きのまま強火で炙る「焼っ切り」だった。

 高知の「たたき」と似ているけれど「焼っきり」には宮崎流のこだわりがある。「身全体でなく、皮目だけを炙るので、生の部分が『たたき』より多いため、カツオ本来の持つ美味しさが引き立ちます。青い味わいの初カツオは、焼っ切りがとても合うんですよ」と下野さん。

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池田陽子[食文化ジャーナリスト/薬膳アテンダント]

宮崎生まれ、大阪育ちのアラフォー。立教大学卒業後、出版社にて女性誌、ムック、機内誌などの編集を手がける。取材を通して、カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは?という関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。自身の体調の改善、美容効果などをふまえてふだんの暮らしの中で手軽に取り入れられる薬膳の提案や、漢方の知恵をいかしたアドバイスを、執筆、講習会などを通して行う。また、日本各地の食材を薬膳的観点から紹介する活動も積極的に取り組み、食材の新たな魅力を提案、発信を続け、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。著書に「ゆる薬膳。」(日本文芸社)「缶詰deゆる薬膳。」(宝島社)、「『ゆる薬膳。』はじめたらするっと5kgヤセました!」(青春出版社)などがある。
■HP:www.yuruyakuzen.com
■Facebook:https://www.facebook.com/yoko.ikeda.79

また、鯖をこよなく愛し、日本全国・世界のさば、さば料理、さば缶を楽しみ、さば文化を語り、さばカルチャーを発信し、さばで日本各地との交流をはかることを趣旨に活動している「全さば連」(全日本さば連合会)にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。
■全さば連HP:http://all38.com
■FACEBOOKページ:http://www.facebook.com/mackerel.cava  

 


魚食王国ニッポン~元気をつくる「浜のめし」 池田陽子

和食が世界遺産に認定され、改めて見直される「魚食文化」。日本各地にはさまざまなおいしい魚が水揚げされ、地元ならではの「魚料理」があります。この連載では日本各地の各種魚の産地を訪ね、「とっておきの漁師料理/ご家庭の魚料理/ご当地魚グルメ」を紹介。あわせて漁の様子、市場の風景など、おいしい「浜のめし」を支える人々の活躍をお届けします。

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