“本業回帰”に舵を切るGE
“本業以外”に参入図るソニー

GEとソニー、製造業回帰vs.事業拡大どちらが正解か“本業以外”への積極参入でソニーは復活できるのか。写真は経営方針を説明する平井一夫社長(2014年5月)  Photo:Takahisa Suzuki

 最近、ニューヨーク在住のアナリスト連中とメールのやり取りをしていると、ジェネラル・エレクトリック(GE)とソニーがトピックになることが多い。

 その背景には、両社の株価が安定した展開になっていることに加えて、GEのイメルト会長が“脱金融”へと舵を切る一方、ソニーは金融や不動産など、当初の本業以外のビジネスへの依存度を高める経営戦略で、好対照になっていることがある。

 GEのイメルト会長は、2014年に同社の収益の40%程度を稼ぎ出している金融事業を縮小し、2016年には25%までに低下させる方針を明確にしている。

 金融事業の収益が、リーマンショックなど外部環境の変化によって大きく変動するリスクを考えると、安定性が見込める航空機エンジンなど本業に回帰する方が有効と判断したのだろう。

 一方、ソニーは、高い優位性を維持しているイメージセンサー事業などに注力すると同時に、不動産や介護事業など本業以外の事業に積極的に参入する方針を打ち出している。ソニーの本業以外の新規事業への参入に関しては、投資家や経済専門家の中でも評価の分かれるところだ。

 同社としては、保険や銀行などの金融事業が相応の成功を収めていることもあり、将来の収益チャンスになり得る事業を積極的に開拓したいのだろう。その姿勢は、赤字が続いている同社の事情を考えるとそれなりに理解はできる。

 GEとソニーという、いずれも世界的に知名度が高く、経営戦略についても一家言を持つ企業が、異なった方向の経営戦略を打ち出すことは興味深い。両者がどのような成果を生み出すことができるか、今後の展開に注目したい。