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世界経済の思わぬ潜在リスクに?
不況下に響く「局地バブル」の怪しい足音

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第109回】 2010年1月19日
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 最近、色々な人から「何だかよくわからないが、おかしなことが起きている」という話を聞く。

 ニューヨークでファンドマネジャーをしている友人は、「欧米諸国の経済状況を冷静に見ると、どうしても株価が割高だと思うのだが、インデックスが上がるので、株を買わざるを得ない」とメールしてきた。

 また、中国帰りの商社の駐在員は、「世界的に景気が悪いにもかかわらず、上海のマンション価格は依然上昇傾向が続いており、価格水準は東京とほとんど変わらない」と言っていた。

 どうやらこの大不況下でも、局地的に活況を呈しているマーケットはあるようだ。関係者はこれを「よくわからない事態」と形容している。

デフォルト騒ぎが起きたドバイで
「のっぽビル」が完成した不思議

 その象徴的な例が、UAE(アラブ首長国連邦)のドバイだろう。昨年末に政府系大手企業のデフォルト騒ぎが起きた同国で、この度世界一の「のっぽビル」となる「ブルジュ・ドバイ」が完成したという。日本の「東京スカイツリー」も含め、世界の大都市は「世界一高いビルやタワー」の建設で派手な競争を行ない、話題を提供している。

 こうした建設のスケジュールは、経済が好調なときに計画されていたとは言うものの、その後も着実に資金が投下されて建設が続けられてきたからこそ、具体的な姿へと形を整えてきたと言えるだろう。

 実は、これらの話題からは、かつての「バブル」を彷彿させる香りが漂ってくる。

 ただ、そうした香りは、景気低迷の長期化に苦しむ世界経済全体から立ち上ってくるのではなく、一部諸国の株価や不動産など、特定の分野からじわりと上がってくるものが多い。それが、いわば「局地的なバブルの香り」ということができるだろう。

 今回は、不況下で発生する「極地バブル」の背景とその影響について、考えてみよう。

 まず、“局地バブル”発生の背景には、なんと言っても潤沢な流動性がある。世界の主要国が景気刺激策のために注入している流動性の一部が、特定の分野に流れ込んで、“局地的バブル”を作っているのだ。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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