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「会社のワガママちゃん」対処法

職場の若手人材に急増する
「未熟型うつ」の正体

松崎一葉 [筑波大学大学院 産業精神医学・宇宙医学グループ 教授]
【第7回】 2009年9月3日
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 これまで、人格が未熟なワガママちゃんの成因と行動特性について6回にわたり解説してきました。今回は、「ワガママちゃん」が「うつ」になったケースを取り上げて、「ワガママちゃん」のうつ状態と従来型のうつ病の比較を示して、その特徴をまとめてみましょう。

【事例】
「おれは本来本社にいる人間」と豪語
工場勤務に我慢できずに「うつ」に

 
 25歳会社員。入社3年目で経理職。元来元気な性格で、人の前に立って活動することが好きだった。新入社員研修ではリーダーシップを発揮し、グループミーティングでは、積極的に発言していた。本人は本社宣伝部への配属を望んでいたが、都内近郊Y市にある、工場の総務課に配属された。

 本人は、「おれのイメージには合わない」「作業服を着て働くなんて格好悪い」と不満をもらしていた。

 課は、勤続30年のベテラン課長と勤続15年の女性係長と本人の3名であり、上司2名はたいへんに面倒見がよく、なんでもていねいにアドバイスを与えていたという。

 業務上のやりとりにおいて、子会社社員に対する態度が横柄であったため上司係長が、言葉遣いについてたしなめた。本人は憮然とした表情で返事もせず、以来係長を無視するようになった。

 係長は、それでもていねいに仕事を指導していたが、本人は社内外で係長の悪口を言い、「俺は本来本社にいるべき人間で、こんな工場の係長なんぞに、とやかく言われるような人間ではない」「係長は無能なくせに、いちいち細かいことにうるさい」「これでは会社の将来はない」などと言っているとの噂が流れた。それらに対して上司課長から厳しい叱責があった。その場では本人は謝ったが、以降も態度は改まらなかった。

 働きぶりは、本社課長などへの報告には身を入れて、それなりの仕事をするが、相変わらず工場内部の仕事や子会社に対する態度は横柄であり、周囲もつきあい方にかなり困り果てていた。

 人事考課では、本人の満足のいく評価を得られなかったところ、本人はその不満をついに課長にぶちまけて、課長とおおっぴらな口げんかになった。その事態が、本社人事に報告され、事情のヒアリングを受け、事実関係と日頃の働きぶりに関する報告に基づき、本社人事担当から改善するよう指導を受けた。

 翌日から3日間、本人は体調不良で会社を休んだ。心配した係長がアパートを訪ねたところ、「会社に行く気力がおきません」「食欲も出ず、夜もよく寝られない」と言うため、上司はまず、「有給休暇を取って少し休んだらどうか?」とアドバイスした。

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松崎一葉 [筑波大学大学院 産業精神医学・宇宙医学グループ 教授]

1960年生まれ。1989年筑波大学大学院博士課程修了、精神科医、医学博士。東京都庁知事部局健康管理医、宇宙航空研究開発機構(JAXA)主任研究員、茨城県警察本部健康管理医のほか、企業の精神科産業医として国内外で活躍。著書に「会社で心を病むということ」(新潮文庫)、「もし部下がうつになったら」(ディスカバー携書)など。

 


「会社のワガママちゃん」対処法

「傲慢なのに打たれ弱い」未熟なワガママ社員が増え、多くの管理職が振り回されている。しかし、対処法を間違えば、彼らは「うつ」になるケースも。彼らとどう付き合っていけばよいのか、その方法を紹介していく。

「「会社のワガママちゃん」対処法」

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