ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
inside

三洋電機がリチウムイオン電池で“一人勝ち”する理由

週刊ダイヤモンド編集部
2008年7月9日
著者・コラム紹介バックナンバー

 大手パソコン(PC)メーカーの幹部らが最近、相次いで淡路島を訪れている。供給不足に陥っているノートPC用リチウムイオン電池を求めて、ここに本部を置く三洋電機の電池事業部門、モバイルエナジーカンパニーに、供給増を頼み込んでいるのだ。三洋はリチウムイオン電池でトップシェアを誇る。

 需給が逼迫している理由は大きく3つある。

 第一に、ノートPC市場の急拡大だ。米調査会社IDCによれば、2008年1~3月期の出荷台数は、対前年比で40%も伸びた。

 第二に、昨年来相次いだ電池メーカーの工場火災によって、供給が減少したためである。昨年9月に松下電池工業、今年3月には韓国LG化学で火災が発生し、松下はこの3月に完全復旧したばかりで、LGは「いまだ完全復旧に至っていない」(関係者)。

 第三に、小型化・コードレス化が進む電動工具用電池の需要急拡大だ。ノートPCも電動工具も同じ円筒型電池を使用しているが、電池メーカーからすれば、「常に値下げ圧力のあるノートPC向けよりも、電動工具向けに売ったほうが儲かる」(業界関係者)ため、各社は電動工具向けの増産を優先する傾向にある。

 「なぜ他社には出せてウチには出せないんだ」――。

 ある電池メーカーの営業担当者は、大手PCメーカーからそんな叱責を受けたという。それほど、各社は必死で電池の確保に奔走している。特に、LGからの調達比率が大きかった米ヒューレット・パッカードなどは厳しい模様だ。

断トツの三洋をサムスンが追う ノートPC用リチウムイオン電池のシェア 一方、電池業界は活況にわいている。「完全な売り手市場。いくら作っても供給が追いつかない」(関係者)。特に好調なのがシェアトップの三洋と2位の韓国サムスンSDIだ。両社は共に積極的な設備投資で、松下やLGがつまずいたすきに生産能力を増強しシェアを伸ばしている(右のグラフ参照)。シェア3位のソニーや松下も増産に動き始めており、業界全体の供給能力は上がってきている。

 それでも、供給不足は当面続く可能性が高い。ノートPC市場は成長にはずみがつく一方、電池の急激な供給増は望めないからだ。電池の製造には高度な技術とノウハウが必要で、供給できるメーカーは限られる。「需要に対して10~20%足りなくなるのではないか」(三輪秀明・テクノ・システム・リサーチ・マーケティングディレクター)という見方もある。

 ノートPC市場の急拡大に乗って一様に好業績を享受してきたPC業界だが、今後は電池の調達が明暗を分ける。壮絶な争奪戦はまだまだ続きそうだ。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 前田 剛)

今週の週刊ダイヤモンド

2017年1月28日号 定価710円(税込)

特集 劇変世界を解く 新地政学

世界史の大転換が始まる

【特集2】
銀行界も戦々恐々
コンビニATM戦争

【下記のサイトからご購入いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

【下記のサイトからご購入いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

【下記のサイトからご購読いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

週刊ダイヤモンド編集部


inside

産業界・企業を取り巻くニュースの深層を掘り下げて独自取材。『週刊ダイヤモンド』の機動力を活かした的確でホットな情報が満載。

「inside」

⇒バックナンバー一覧