今国会の大きな争点
安保体制法案のポイント

集団的自衛権を行使しないのは国際的には非常識だ集団的自衛権の行使容認は、戦争のリスクを増すのか減らすのか
Photo:JMSDF

 安全保障法制の関連法案が今国会の大きな争点になっている。審議する特別委員会の新設は議決されたが、具体的な日程はまだ流動的だ。与党は5月26日審議入りを目指しているが、野党は成立阻止で連携している。安全保障関連法案は、集団的自衛権の行使を可能にすることを主な内容としている。

 安保法制は、日本の平和・安全と、国際社会の平和・安全の二つの柱がある。

 日本の平和・安全では、

(1)グレーゾーン事態への対応として、自衛隊法を改正し、武装集団の離島への上陸に対し迅速な対応ができるように、ミサイル発射の兆候で米艦が警戒中でも自衛隊の行動を可能にしている。

(2)重要影響事態への対応として、周辺事態法を改正し、日本に重要な影響を与える事態で、米軍に後方支援する。

(3)存立危機事態への対応として、集団的自衛権の限定行使をするため自衛隊法・武力攻撃事態法など改正する。存立危機事態とは、我が国の存立が脅かされ国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態であり、中東のホルムズ海峡が封鎖され石油輸入が途絶えて日本国内が危機になる場合で機雷掃海、機雷除去を可能とするものだ。

 国際社会の平和・安全では、

(4)国際平和協力として、PKO協力法を改正し、有志国による人道復興支援や治安維持などへの参加を可能とする。

(5)国際平和共同対処事態への対応として、国際平和支援法(国際平和のために戦う他国軍を後方支援する法律)を新たに作る。これで、自衛隊の海外派兵が随時可能になり、戦争の前線よりも後ろで、武力を使わずに他国の軍隊に燃料・弾薬を補給する活動ができる。ただし、海外派遣には例外なく国会の事前承認が必要である。これまで自衛隊を海外派遣するには特別措置法などがその都度必要だったが、それが不要となる。