5月12日から米国フロリダ州オーランドで開催されたシトリックスの年次イベントで発表された「シトリックス・ワークスペース・ハブ」プロトタイプの写真。コインと比べてその小ささがわかる Photo:Noriko Takiguchi

移動するだけで
仕事環境がついてくる

 IoTと言うと、どうもウェアラブルとかガレージのドアとか、インターネットにつながった「モノ」を考えてしまう。だが、シトリックス流のIoTはこれとはまったく異なったアプローチだ。

 シトリックスは、デスクトップの仮想化技術を開発する会社である。OSやデバイスの違いを超えて、どこからでもどんなアプリケーションにもアクセスでき、仕事を効率化することを目的とする。だが、エンタープライズ向けの技術とサービスを提供する会社であるシトリックスが、なぜIoTなのか。

 同社のマーク・テンプルトンCEOは、これを「仕事場の自動化」と呼んでいる。同社がすでにベータ版として公開したのは、こんなしくみだ。先頃フロリダ州のオーランドで開かれた年次コンファレンス、「Citrix Synergy 2015 (シトリックス・シナジー)」で発表された。

 たとえば、出先でタブレットを手に仕事をしている医師。画面上にさまざまな資料を呼び出して、検討作業をしている。作業の途中で移動、そしてオフィスに到着した。医師が自分のデスクに近づくと、何とデスクトップ・コンピュータの画面が自動的に立ち上がり、そこには先ほどまでタブレットで見ていた資料が表示されているのだ。

 コンピュータにログインするといった手順なしに、ユーザーの利用状況をそのまま別のデバイスでもシームレスに呼び出すということだ。医師は、その後会議室へ移動。すると会議室のコンピュータにも同じ画面が呼び出される。