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校條浩 IoT産業革命
【第4回】 2015年5月20日
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校條 浩 [ネットサービス・ベンチャーズ マネージング・パートナー]

IoTにより激変する
半導体トレンドを理解しよう

IoTビジネスを考える上で
半導体トレンドを知ることは重要

 IoTの普及の鍵を握る基盤技術のひとつが半導体だ。専門用語が多くとかく分かりにくい半導体だが、その基本トレンドを理解することは、IoTによる産業革新を図ろうとする経営トップや経営幹部にとって重要なことだ。

 半導体がデジタル革命のドライビングフォースであったことは周知の通りだが、日本が強かったメモリー分野は完全にコモディティー化し、過去20年ほどは、インテル(CPU)、ARM(モバイルCPU)などのプロセッサーやクアルコム(CDMA)などのモバイル通信チップが世界を席巻してきた。IoTによりその産業地図が変わろうとしている。

 IoTは「モノのインターネット」であり、モノとモノ、モノと人がつながり、それぞれの情報が有機的につながり、分析され、システムが自律的に作動して今まで不可能だったサービスが低コストで実現できるようになる。ネットにつながるモノの数は、2020年には500億個を超えると言われている。

 例えば、Kinsa(キンサ)というベンチャー企業はネットにつながった体温計を開発している。個人の利用だけでは体温の履歴管理くらいの価値しかないが、これが幼稚園、学校、病院などで使われるようになると、健康状況の管理、推測(例えばインフルエンザの流行の兆しなど)のための詳しい分析や記録ができるようになる。

 これがもっと広い地域でデータが取れるようになれば、インフルエンザの流行の広がりがわかり、予防接種や風邪薬の在庫調整を地域別に有効に図ることができる。データの量は巨大になるが、分析やアクションにはそれほどのリアルタイム性は求められない。

 一方、部品や生産設備にセンサーを付けてネット監視するような生産現場でのIoTでは、各段階での部品品質のばらつきや生産上の問題の警告は瞬時にフィードバックする必要がある。データの量よりもむしろリアルタイム性が要求される。

 このように、製品・アプリケーションにより要求が変わるので、一種類の半導体ですべてを解決することは難しく、アプリケーションごとに最適なソリューションが必要となる。製品の数が少ない場合は、標準回路基板の組み合わせで対応、数万個であれば標準半導体の組み合わせで回路基板を設計、さらに数百万個以上になればセンサー、通信、コントロールの各機能を半導体チップ上に集積したシステム・オン・チップ(SoC)を開発することになる。

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校條 浩(めんじょう・ひろし)[ネットサービス・ベンチャーズ マネージング・パートナー]

東京大学理学部卒、同修士課程修了。マサチューセッツ工科大学(MIT)工学修士。小西六写真工業(現コニカミノルタ)にて写真フィルムの開発に従事。その後MITマイクロシステムズ研究所、ボストン・コンサルティング・グループを経て、1991年にシリコンバレーに渡る。1994年よりマッケンナ・グループのパートナーに就任。2002年に「ネットサービス・ベンチャーズ」を創業し、シリコンバレーでのベンチャー投資・インキュベーションと日本企業への事業コンサルティングを進める。2012年より大阪市特別参与、2013年~14年に同特別顧問。シリコンバレーから大阪に出向く異色のアドバイザーとして活動。関西初の独立系グローバルベンチャーキャピタル「ハックベンチャーズ」を設立。スタンフォード大学STAJE顧問、Japan Society US-Japan Innovation Award委員会理事、Silicon Valley Japanese Entrepreneurs Networkボードメンバー。主な共著書に『ITの正体』『シリコンバレーの秘密』(インプレス)、『日本的経営を忘れた日本企業へ』『成長を創造する経営』、訳書に『リアルタイム』『スマート・カンパニー』(いずれもダイヤモンド社)など。日経産業新聞においてコラム「新風シリコンバレー」を連載中。


校條浩 IoT産業革命

今までの20年は、ソフトウェア、ネットワーク、インターネットを中心に新産業を創出したアメリカが一人勝ちであった。これからの20年は、IoTが新産業創出のキーワードとなる。本連載では、IoT という新たなイノベーションの潮流と、それによりもたらせる産業革命について、シリコンバレーの現場から報告する。

「校條浩 IoT産業革命」

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