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オヤジの幸福論

オヤジを待ち受ける不安な老後?

後藤順一郎 [アライアンス・バーンスタイン株式会社 AB未来総研 所長]
【第40回】 2015年7月6日
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 これまで、オヤジ世代にかかわる環境変化や年金制度改革についてお話ししてきました。これらの変化や改革は、オヤジの老後にどの程度影響を与えるのでしょうか? 今回は平均的なオヤジを例にとって、その影響を見ていきたいと思います。

オヤジと公的年金

 ここでは、妻が専業主婦の50歳のサラリーマンのオヤジを考えてみます。女性や高齢者の社会参加が進むなどの標準的なシナリオ(国の財政検証におけるケースE)の場合、平成41年度には年金額が月額で22万9000円、所得代替率(平均賃金に対する年金の割合)は56.8%となります。現在の65歳の人が受給している年金額が21万8000円で所得代替率は62.7%ですから、所得代替率は6%近くも下がってしまうのです。一方で、受け取る年金額が増えていますね。これは、この間に賃金の上昇を見込んでいるからです。「なんだ、年金額は増えるのか」と安心してしまうかもしれませんが、今のサラリーマンの平均賃金(34万8000円)対比で考えると19万8000円となり、実質的には約2万円程度下がることになります。女性や高齢者の社会参加が進まない悪いシナリオ(ケースG)では、所得代替率が54.4%まで下がるため、実質的な年金額は18万9000円まで下がります。これが実現すると今の65歳より約3万円も少なくなってしまうわけです(厚生労働省のデータに基づきアライアンス・バーンスタイン株式会社が作成)。

 早期に受給者と現役世代のバランスを改善し、現役世代の将来の年金額を確保するための施策として「マクロ経済スライド」がすでに導入されています。しかし、デフレ下では発動しない現在の仕組みでは、前述のケースGのような悪いシナリオが実現すると、将来の所得代替率が大きく下がってしまいます。早期にバランスを改善すべく、デフレ下でもマクロ経済スライドが実行できるよう、社会保障審議会で議論されてきましたが、残念ながら完全には実現されませんでした。これでは、デフレが続く限りいつまでたってもバランスは改善されません。これから年金を受け取る世代には歯がゆさを感じる人も多いのではないでしょうか。

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後藤順一郎 [アライアンス・バーンスタイン株式会社 AB未来総研 所長]

慶應義塾大学理工学部 非常勤講師。1997年慶應義塾大学理工学部管理工学科卒業。97年株式会社富士銀行(現 株式会社みずほ銀行)にて、法人向け融資業務に従事。2000年みずほ総合研究所に勤務し、主として企業年金向けの資産運用/年金制度設計コンサルティングに従事。06年一橋大学大学院国際企業戦略研究科にてMBA取得。同年4月アライアンス・バーンスタイン株式会社に入社。共著書に「企業年金の資産運用ハンドブック」(日本法令 2000年)、「年金基金の資産運用-最新の手法と課題のガイドブック-」(東洋経済新報社 2004年)などがある。

 


オヤジの幸福論

年金支給が70歳支給になるかもしれない。公的年金ばかりか企業年金も怪しくなっている。銀行の金利も微々たるもの。平均寿命が延びるほどに老後が不安になってくる。自分で自分を守るためにどうしたらいいのか。オヤジの幸福のために自分年金について教えます。

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