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『うつ』のち、晴れ 鬱からの再生ストーリー

「元に戻ること」が全てではない。
ゼロからの再出発

~ 47歳男性(既婚/金融機関勤務)の場合【後編】 ~

西川敦子 [フリーライター]
【第6回】

 「服薬」と「休養」。このふたつは、うつの治療でもっとも肝心なポイントと言われる。だが、薬を飲んで休み、いったん症状がよくなったとしても、ふとした拍子に病気がひょっこり顔を出すかもしれない。

 とくに最近の抗うつ薬の主流は、「SSRI」という比較的副作用が少ない薬だ。これは飲みやすいうえに効き目も高く、早い人だと、2~4週間くらいで効果が出てくるそうだ。そこで「おっ、この調子ならそろそろ職場に戻れるぞ」と簡単に復職すると危険。あっというまに症状が逆戻りし、再び休職ということになりかねない。実際、うつがすっきり治ることはむしろ稀で、たいていは一進一退を繰り返しながら、少しずつ快方に向かうものだという。

 再発を防ぐためには、十分に休んで治療することはもちろんだが、同時に「病気を引き起こした本当の原因」と向き合うことも必要なのではないか。

うつ、のち晴れ。

 故郷の新開地を訪ね、少年時代を振り返った楠木さんは、そのことに気づいていたのだろう。子どものころの記憶を掘り起こすだけでなく、会社と自分との関係について、あらためて思いを馳せることも多くなった。

 「入社した当時、社内の人々の顔つきに違和感を覚えたことがあります。一言でいえば、個性や主張の乏しい表情をしていました。それに比べて、僕の生まれ育った新開地のおっちゃんたちは、じつにいきいきとした“いい顔”をしていましたよ。零細な店ばかりだったから、明日への不安も抱えていたはずなのに。『人の顔を輝かせるのは、仕事のスキルや合理的な思考力じゃないんだなあ』と感じたものです」

早期退職と上昇志向の間で

 症状がかなり影を潜め、復職も間近かと思われるようになったある朝のこと。楠木さんは、ひさしぶりに都心の雑踏の中を歩いた。彼が向かった場所――それは、ハローワークだった。

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西川敦子 [フリーライター]

1967年生まれ。上智大学外国語学部卒業。編集プロダクション勤務を経て、独立。週刊ダイヤモンド、人事関連雑誌、女性誌などで、メンタルヘルスや介護、医療、格差問題、独立・起業などをテーマに取材、執筆を続ける。西川氏の連載「『うつ』のち、晴れ」「働く男女の『取扱説明書』」「『婚迷時代』の男たち」は、ダイヤモンド・オンラインで人気連載に。


『うつ』のち、晴れ 鬱からの再生ストーリー

うつをきっかけに、生き方や働き方を見つめ直した人々にフォーカス!うつに負けない、うつを乗り越えるための知恵と活力を探っていく。

「『うつ』のち、晴れ 鬱からの再生ストーリー」

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