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スマートフォンの理想と現実

モバイル産業の主役はインフラ技術を握る「通信機器ベンダー」へ

モバイルワールドコングレス2015レポート(中)

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第66回】 2015年6月2日
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 復活してからまた2ヵ月が経ってしまい、読者のみなさまや関係各位には恐縮する限りなのだが、生まれながらの厚顔無恥で、何事もなかったかのように再開させていただく。

前回に引き続いて、世界最大のモバイル分野の展示会「モバイルワールドコングレス」(以下MWC、今年の展示会を指す場合はMWC2015)の概況をお伝えしよう。今回は通信機器ベンダーの動向に触れたい。

いまなぜ通信機器ベンダーの時代なのか

 通信機器ベンダーとは、基地局やバックボーンネットワークを構成するメーカーのこと。どうしても話は玄人向けになってしまいがちだが、最近はLTEやキャリアアグリゲーション等、最新テクノロジーがそのまま通信事業者の消費者向けマーケティングに使われている。そうした通信サービスの高度化を支えるのが、通信機器ベンダーだ。

 とはいえ消費者からすれば、本来は黒子の存在である。実際、テクノロジーの名称については知っていても、ベンダーの名前まで思いつくのは、やはり玄人筋のはずだ。そんな彼らではあるが、世界の通信業界では存在感の大きさが日に日に増している。

 その大きな理由は、LTEの普及以降、通信規格が世界的に揃いつつあることにある。それ以前の3Gでは、W-CDMAとCDMA2000という二つの規格の系統が存在し、互いに互換性はなかった。またW-CDMAとCDMA2000のいずれも、その普及期にスマートフォンの爆発を迎え、モバイルインターネットの利用シーンが劇的に変わったため、同じ系統の中でも、流派や方言が分かれがちであった。

 しかしLTEの登場によってモバイル業界の通信規格が揃いはじめた。その結果、競争環境の変化が生じた。一つは系統や流派に合わせた対応ではなく、同じ規格の上で詳細な機能やパフォーマンスを競うようになった。もう一つは、多くの通信事業者が同じ通信規格を使う以上、技術や運用の集約を進めた方がスケールメリットを得られるようになった。

エリクソンが相対するビジネスの規模を説明する同社のハンス・ヴェストベリCEO。10億人の最終利用者が管理対象と認識されている Photo by Tatsuya Kurosaka

 こうなると、単一の通信事業者よりも、そうした通信事業者を複数相手にする通信機器ベンダーの方が、より多くの最終利用者を相手にすることになる。従って、より大きな存在感と責任を持つことになる、ということだ。

 もちろんそれは、いまに始まった話ではない。特に欧州では、3Gの普及が遅れたことで結果的に3Gの流派や方言が揃ったこと、また国をまたいだローミングサービスの提供が活発化したことで、通信サービスの水平分業が進んだことが大きい。

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クロサカタツヤ[株式会社 企/株式会社TNC 代表]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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