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「不登校」や「引きこもり」に陥ったきっかけ・背景が、学校でのいじめだったという人は少なくない。
「かくいう私も、小学校2年から高校を卒業するまで、ずーーっと、いじめを受けておりました。それだけ長い間、いじめを受けていましたから、いろんな種類、ありとあらゆるバリエーションの、いじめを体験してきました」
暗がりの舞台に立ち、40人余りの参加者が聞き入る満員の会場で、そう語りかけるのは、引きこもり経験のあるパフォーマーの大谷健児さん(27歳)。
5月9日、新宿区西早稲田のNeccoカフェで開催された「ひきこもり大学自己表現学部×布団の中のアーティスト~五月病を吹っ飛ばせスペシャル~」のひとコマだ。
クラス全員・担任教師による
“葬式ごっこ”という名のいじめ
地方の町に住む大谷さんが今公演で披露したのは、そんな数あるいじめの中でも「最も印象深かった」という中学生のときの“葬式ごっこ”。
ある朝、教室へ行くと、自分の机の上に、1枚の色紙が置いてあった。色紙には、クラス全員から、大谷さんが亡くなったことを前提にしたメッセージの文字がびっしり書き込まれていたという。
「傑作だなと思ったのは、クラス30人中11人が、“おまえは、もう死んでいる”と書いていたことですね。しかも、担任の先生も一緒になって、書いてくださっていたんです」
「こっちとしては、おいおい、とんだスペシャルゲストをお呼びなすったなって…」
会場に笑いが起こる。大谷さんは、自らの悲しみの過去を乗り越え、学校でのいじめ被害を笑いという価値に変える、そんなパフォーマー活動を始めたのだ。
「この葬式ごっこがすごいのは、体育祭の400倍、クラスが1つになってまとまった。それまでは、クラスがバラバラだったんです」
葬式ごっこが行われてから1ヵ月後、合唱コンクールがあって、クラスは準優勝を飾った。