鳩山首相
鳩山首相がサミットで宣言した「鳩山イニシアチブ」を掲げ、COP15に望んだ日本の交渉団。

 12月、デンマーク・コペンハーゲンで開催された温暖化対策の国際会議「COP15」。合意実現に向けて難しい局面を迎えていた最終日。ようやく新たな合意案「コペンハーゲン合意」がまとまった。ここに至るまで、日本外交はどのように戦ったのか。我々は、日本の交渉団に密着した。

「25%削減」で主導権を
握ろうとした日本だったが・・・

蘇偉
中国交渉団のナンバー2、蘇偉(スーウェイ)氏【写真右】。

 11月、COP15の作業部会が行なわれたバルセロナ。日本は中国との2国間交渉に臨んでいた。相手は、中国交渉団のナンバー2、蘇偉(スーウェイ)氏。タフな交渉相手だ。

 「25%という日本の目標は素晴らしい」

 日本の削減目標を讃える中国側。ところが、その後、予想外の発言が待っていた。

 「自分たちは参加しないが、日本の決断は実に立派だ」

 さらに、日本側の「25%削減は中国の参加が前提だ」という発言で、中国の態度は豹変した。

 「それならば、中国が日本の削減目標を評価することはない」

 このあとも議論は平行線をたどったまま終了した。日本の交渉担当者は、

 「中国の態度は固い。日本とアメリカは先進国なのだから削減を国際的に約束すべきであって、中国は発展途上国なのでそういう約束をすべきでないという主張だ」

と語った。

 中国やアメリカなどCO2主要排出国が同じ枠組みに参加することを前提に、それまでより3倍以上も上回る「25%」を削減目標にすると約束した日本。これまでにない高い削減目標で、国際交渉の主導権を一気に握ろうという狙いだった。

すべてのカギを握るのは中国

地球温暖化を食い止めるには、世界のCO2排出量の21%を占める中国と、20%を占めるアメリカの削減義務が不可欠となる。

 1997年、先進各国の温室効果ガスの削減目標を初めて定めた京都議定書。しかしこの時、中国など発展途上国は削減義務を負わなかった。さらにアメリカは議定書から離脱し、削減義務とは無縁となった。CO2排出量21%の中国と20%のアメリカが削減義務を負わない一方で、日本には大きな義務が課せられていた。

 京都議定書は2012年で期限が切れる。米中が義務を負わないまま京都議定書を延長するような事態は何としても避ける、というのが日本の譲れない一線だった。

 アメリカの動向も気がかりなことの1つだった。就任当初から地球温暖化対策を強く訴えてきたオバマ大統領。しかし、上院に提出された温暖化対策法案は、産業界からの反対で審議が難航した。さらにアメリカは、世界最大の排出国である中国が枠組みに参加しない限り自らも参加しない、と強調していた。

 アメリカを動かすためには中国を説得するしかない。すべてのカギを中国が握っていた。