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加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

習近平総書記が“意見”した
国有企業改革の真の狙い

加藤嘉一
【第53回】 2015年6月9日
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国有企業改革には常に
「政治」の色がつきまとう

中国において、国有企業改革を巡る特定の定義や定説は存在しない。時の政府によってスタンスが変わるからだ。国有企業改革につきまとう「政治色」の正体とは?

 本稿は、中国共産党政権下における“国有企業改革”について議論する。

 中国の国有企業と言った場合、どんな情景をイメージするだろうか。

 例として、米《フォーチュン》誌が売上高順に世界の企業を番付し、「フォーチュン500」として毎年発表するグローバル企業ランキングの上位50位に入っている中国企業を見てみよう(2014年7月発表)。

3位:中国石油化工集団公司(SINOPEC GROUP)
4位:中国石油天然気集団公司(CHINA NATIONAL PETROLEUM)
7位:国家電網公司(STATE GRID)
25位:中国工商銀行(INDUSTRIAL & COMMERCIAL BAKK OF CHINA)
38位:中国建設銀行(CHINA CONSTRUCTION BANK)
47位:中国農業銀行(AGRICULTURAL BANK OF CHINA)

 これらはすべて国有企業である。

 中国の国有企業改革と言った場合、どんな光景をイメージするだろうか。

 それは一口には言えないほど複雑であり、私の知る限り、中国において国有企業改革を巡る特定の定義や普遍的な定説は存在しない。企業内の、体質を改善する、体制を健全化する、透明性を高める、効率を上げる、制度化を計る……経済活動の市場化が謳われている状況下において、計画経済時代の名残とも言える国有企業の数そのものを減らす、国有企業間の併合を促す、民間・外資企業との競争を公平化する……。

 これらはすべて“国有企業改革”の範疇に入るであろう。定義や定説が根付きにくい理由の1つが、中国共産党政治に見い出せる。時の政権によって国有企業や国有企業改革に対するスタンスが変わってくるからだ。要するに、この問題には常に「政治」という色がつきまとっている、ということだ。

 2012年11月から総書記を務めている習近平時代の到来を象徴する共産党第十八回大会の報告に、国有企業改革に関する表記がある。和訳してみよう。

 「如何なる動揺もせずに公有制経済を強化・発展させ、公有制の多種多様な実現形式を推進する。国有企業改革を深化させ、各種の国有資産管理体制を充実させる。国有資本をこれまで以上に国家安全と国民経済の生命線に関わる重要な業界と肝心な分野に投入し、国有経済の活力、制御力、影響力を不断に増強させる」

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加藤嘉一 

1984年生まれ。静岡県函南町出身。山梨学院大学附属高等学校卒業後、2003年、北京大学へ留学。同大学国際関係学院大学院修士課程修了。北京大学研究員、復旦大学新聞学院講座学者、慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)を経て、2012年8月に渡米。ハーバード大学フェロー(2012~2014年)、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院客員研究員(2014〜2015年)を務めたのち、現在は北京を拠点に研究・発信を続ける。米『ニューヨーク・タイムズ』中国語版コラムニスト。日本語での単著に、『中国民主化研究』『われ日本海の橋とならん』(以上、ダイヤモンド社)、『たった独りの外交録』(晶文社)、『脱・中国論』(日経BP社)などがある。

 


加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

21世紀最大の“謎”ともいえる中国の台頭。そして、そこに内包される民主化とは――。本連載では、私たちが陥りがちな中国の民主化に対して抱く“希望的観測”や“制度的優越感”を可能な限り排除し、「そもそも中国が民主化するとはどういうことなのか?」という根本的難題、或いは定義の部分に向き合うために、不可欠だと思われるパズルのピースを提示していく。また、中国・中国人が“いま”から“これから”へと自らを運営していくうえで向き合わざるを得ないであろうリスク、克服しなければならないであろう課題、乗り越えなければならないであろう歴史観などを検証していく。さらに、最近本格的に発足した習近平・李克強政権の行方や、中国共産党の在り方そのものにも光を当てていく。なお、本連載は中国が民主化することを前提に進められるものでもなければ、民主化へ向けたロードマップを具体的に提示するものではない。

「加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ」

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