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加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

習近平の支配から逃れられる者などいない

加藤嘉一
【第47回】 2015年3月17日
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 3月3日~15日、中国北京で“両会”(Two Sessions)と呼ばれる一年に一度の会議が開催された。全国人民代表大会と全国政治協商会議が同時に行われることから中国では“両会”と略称される。その構造や機能に関しては、昨年同時期に本連載で扱っているため、そちらをご参照されたい。(第25回コラム:議論は公開されても結局は“密室政治”全人代&政協会議から考える中国民主化の現状

 両会ではあらゆる政治関係者による、あらゆる分野の議論が行われる。一つ一つの内容を取り上げて検証を加えるのは物理的に不可能だ。本稿では、“中国民主化研究”という本連載の核心的テーマに焦点を定め、それにまつわる3つのストーリーを描写しつつ、最後に1つのインプリケーションを導き出したい。

恒例の“両会”で反腐敗を集中討議
注目は人民解放軍内における取り締まり

 1つ目に、習近平総書記が就任以来大々的に展開している反腐敗闘争である。今年の両会では反腐敗に関して前代未聞の集中討議がなされた。

 国家指導者たちの発言をレビューしてみよう。

 「反腐敗に対して高圧的な姿勢を貫き、腐敗分子に対してはゼロ容認で徹底的に調査・処分する。指導機関か群衆近辺かに限らず、すべて厳格に取り締まる」(李克強・国務院総理)

 「今期の政協は令計画や蘇栄といった14人の全国政協委員の資格を剥奪した。委員への管理を強化し、クリーンな党の建設と反腐敗闘争を頑なに推進しなければならない」(兪正声・全国政治協商会議主席)

 「ゼロ容認で司法機関における腐敗を取り締まる。クリーンな党を建設するための主体責任と監督責任を果たさなければならない。すでに問題のある裁判所幹部73名に対して問責を行った」(周強・最高人民法院院長)

 注目すべきは中国人民解放軍内における腐敗の取り締まりである(“軍内反腐”と呼ばれる)。習近平総書記は解放軍代表会議において初めて反腐敗問題を提起した。昨年、一昨年の両会では見られなかった現象である。

 加えて、劉少奇元主席の息子で、習氏とも幼なじみとされる劉源大将・全国人大代表が以下のように公言した。

 「徐才厚(中央軍事委員会元副主席・政治局委員―筆者注)や谷俊山(解放軍総後勤部元副部長―筆者注)らを捕まえる決定は習近平主席の指示によって計画され、実行されたものだ。習主席の突破力と肝っ玉がなければ、彼らを捕まえることなどできなかった」

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加藤嘉一 

1984年生まれ。静岡県函南町出身。山梨学院大学附属高等学校卒業後、2003年、北京大学へ留学。同大学国際関係学院大学院修士課程修了。北京大学研究員、復旦大学新聞学院講座学者、慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)を経て、2012年8月に渡米。ハーバード大学フェロー(2012~2014年)、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院客員研究員(2014〜2015年)を務めたのち、現在は北京を拠点に研究・発信を続ける。米『ニューヨーク・タイムズ』中国語版コラムニスト。日本語での単著に、『中国民主化研究』『われ日本海の橋とならん』(以上、ダイヤモンド社)、『たった独りの外交録』(晶文社)、『脱・中国論』(日経BP社)などがある。

 


加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

21世紀最大の“謎”ともいえる中国の台頭。そして、そこに内包される民主化とは――。本連載では、私たちが陥りがちな中国の民主化に対して抱く“希望的観測”や“制度的優越感”を可能な限り排除し、「そもそも中国が民主化するとはどういうことなのか?」という根本的難題、或いは定義の部分に向き合うために、不可欠だと思われるパズルのピースを提示していく。また、中国・中国人が“いま”から“これから”へと自らを運営していくうえで向き合わざるを得ないであろうリスク、克服しなければならないであろう課題、乗り越えなければならないであろう歴史観などを検証していく。さらに、最近本格的に発足した習近平・李克強政権の行方や、中国共産党の在り方そのものにも光を当てていく。なお、本連載は中国が民主化することを前提に進められるものでもなければ、民主化へ向けたロードマップを具体的に提示するものではない。

「加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ」

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