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橋下徹が「引退」できない3つの理由
都構想はあの住民投票で終わったのか?(上)

――政治ジャーナリスト・松井雅博

松井雅博 [政治ジャーナリスト]
2015年6月11日
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史上最大の住民投票を振り返る
橋下徹は政界を引退すべきなのか?

都構想の否決を受けて記者会見に臨んだ橋下徹氏。政治家引退を表明し、その去就に注目が集まっている。あの住民投票で本当に「都構想」は終わったのか
Photo:日刊スポーツ/アフロ

 5月17日、大阪都構想の住民投票否決――。

 橋下徹大阪市長が提案した「大阪市を廃止し、5つの特別区に分割する」という壮大な行政区の改革は、反対70万5585票、賛成69万4844票という僅差で否決された。

 政治生命を懸けた橋下徹大阪市長は、敗北記者会見で政界からの引退を表明。国政政党である維新の党の江田憲司衆議院議員も、代表を辞任した。

 この敗北により、「維新」の存在感が著しく低下することは免れない。看板政策である「都構想」が頓挫し、党の顔であった橋下徹市長が引退することで、政党としての存立基盤が崩壊してしまうからだ。維新の党の代表には、23年前、政界再編の先駆けとなった日本新党のリーダー・細川護煕元総理大臣の秘書でもあった松野頼久氏が就任した。いわば、1990年代から続く政界再編の闘争を見続けてきた政治家であるが、そのわりに頼りなさは否めない。

 橋下徹や「維新」を批判するのは簡単である。「それ見たことか」「やっぱり失敗か」「責任をとれ」と騒ぎ立てる人も多いかもしれない。しかし、大きな改革に挑戦した政治家に対して、その態度は有権者としてあまりに不誠実ではないか。

 明治維新以来、市町村合併を除けばほとんど変わらなかった行政機構を変えることは、それだけ難しいことだったのだ。武力や戦争で物事を決する時代ではなく、投票や論争で物事を決める民主主義の時代では、抜本的に制度を変えるということは極めて難しいとも言えるのではないか。

 都構想を問う住民投票から1ヵ月が経った今、改めてその意義を振り返ると共に、維新と橋下徹市長が歩むべき道、そして私たち有権者がなすべきことについて、筆者なりに提言したい。

 170万人もの大阪市民が参加した史上最大の住民投票から、我々は何を学んだのか、あの住民投票は無駄だったのか、それとも意味があったのか。そして、橋下徹大阪市長は本当に政界を引退すべきなのか。だとしたら、それが何の「責任」をとることになるのだろうか――。

 結論から言うと、橋下徹市長は政界から去るべきではない。それについて3つの理由を提示していこう。

 ちなみに、筆者はマッキンゼーでコンサルタントとして働いた後、国会議員政策担当秘書として政治の世界へ飛び込んだ。与野党の国会議員事務所で2年半働いた後、兵庫県第10区(加古川市、高砂市、稲美町、播磨町)より衆議院議員選挙へ出馬し、5万1316票を獲得するも落選。一民間人の感覚で政治の現場や裏側を見た経験を活かし、政治をできる限りわかりやすく面白く読者にお伝えする。

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松井雅博[政治ジャーナリスト]

まつい・まさひろ/1979年6月14日生まれ。慶應義塾大学理工学部卒。工学・教育学の2つの修士号を持つ。国家公務員1種法律職試験合格(政策秘書資格取得)。国連英検A級。マッキンゼーアンドカンパニーなどグローバル企業での勤務を経て、国会議員政策担当秘書として政界へ飛び込む。35歳の若さで、第47回衆議院議員選挙に兵庫10区(加古川市、高砂市、稲美町、播磨町)より出馬し、5万1316票を獲得するも落選。一民間人の感覚で政治の現場や裏側を見た経験を活かし、これまでブラックボックスだった政治の世界をできる限りわかりやすく面白く伝えることに情熱を燃やす。


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