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鈴木寛「混沌社会を生き抜くためのインテリジェンス」

やはり「屋根」は必要!
新国立競技場に関する誤解を解く

鈴木寛 [文部科学大臣補佐官、東京大学・慶応義塾大学教授]
【第32回】 2015年6月11日
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批判相次ぐ建設計画だが
誤解や理解不足も多い

開閉式屋根を含む斬新なデザインの新国立競技場。批判が相次いでいるが…
写真提供:日本スポーツ振興センター

 こんにちは、鈴木寛です。

 新国立競技場の建設計画が揺れています。早い時期からザハ・ハディド氏の大胆なデザインを巡り、国内建築家による異論が噴出していましたが、資材・工事人材の予想を超える高騰という社会情勢の影響をもろに受け、開閉式屋根の取り付け工事をオリンピック後に遅らせることになりつつあります。そして現在は、建設費高騰で膨れ上がった整備費の一部を、国が東京都に負担をお願いしたことに舛添知事が反発されています。

 その中で、建築家グループも開閉式屋根をなくす等の抜本的な見直し提言を行い、建設主のJSC(日本スポーツセンター)に対して「警告の意味を込めた提言」と強い口調で注文をつけられました。

 こうした動きに報道も活発化しつつあるわけですが、皆様のご意見・ご批判は真摯に拝聴し、計画の見直しについて引き続きご周知させていただくべく、文科省として最善の努力はしていくべきです。ただ、一方で、この間に出てきた言説の中には、一部で誤解に基づくもの、あるいは新国立競技場を建設する根本的な意義をご承知でないように見受けられるものもあります。ひどいものでは、「いっそ更地にしてしまえ」と酷評する有識者の言説までありました。

 なぜ、8万人収容の競技場を作らなければならなかったのか。なぜ、スタジアムに屋根が必要なのか。そして、「国策プロジェクトだから国が全ての責任と負担を負うべき」なのか──。

 私は現在、文部科学大臣補佐官ではありますが、本件を直接、担当しているわけではありませんので、以下はあくまで個人の立場での見解です。しかし、文部科学副大臣時代を含め、この10年、オリンピック・パラリンピック招致に関わってきた経験から、これまでの経緯、それぞれの施策の意図を振り返ることで、今後の議論の参考にしていただければと思います。

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鈴木 寛 [文部科学大臣補佐官、東京大学・慶応義塾大学教授]

すずき・かん/元文部科学副大臣、参議院議員。1964年生まれ。東京大学法学部卒業後、86年通産省入省。2001年参議院議員初当選(東京都)。民主党政権では文部科学副大臣を2期務めるなど、教育、医療、スポーツ・文化を中心に活動。党憲法調査会事務局長、参議院憲法審査会幹事などを歴任。13年7月の参院選で落選。同年11月、民主党離党。14年から国立・私立大の正規教員を兼任するクロス・アポイントメント第1号として東京大学、慶応義塾大学の教授に就任。同年、日本サッカー協会理事。15年2月から文部科学大臣補佐官として大学入試改革などを担当している。


鈴木寛「混沌社会を生き抜くためのインテリジェンス」

インテリジェンスとは「国家安全保障にとって重要な、ある種のインフォメーションから、要求、収集、分析というプロセスを経て生産され、政策決定者に提供されるプロダクト」と定義されています。いまの日本社会を漫然と過ごしていると、マスメディアから流される情報の濁流に流されていってしまいます。本連載では既存のマスメディアが流す論点とは違う、鈴木寛氏独自の視点で考察された情報をお届けします。

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