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金融マンに人生相談するな!
顧客を取り込むラップ口座を警戒せよ

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第381回】 2015年6月17日
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「人生のゴールを語らせる」
米国で台頭する新たな営業手法

金融機関の営業担当者は相談料を要求しないので、つい“相談相手”にしてしまうが…

 米国では、対面証券会社のビジネスモデルが大きく変化しているという。『週刊東洋経済』6月20日号は「証券」を大きく特集しているが、その中で野村総研アメリカの金融研究室長である吉永高士氏が書いた「米国『証券革命』の実情」という記事が大変興味深かった。

 米国の対面営業型証券会社のビジネスモデルが、顧客に商品を紹介し主に売買手数料で稼ぐ「伝統的営業モデル」から、顧客の預かり資産残高から発生するフィーによって収益を稼ぐ「資産管理型営業モデル」に大きく転換しつつあり、後者におけるアプローチのキーワードが「ゴールベース資産管理」なのだという。

 「ゴールベース資産管理」とは、顧客の人生のゴールを意識した資産運用サービスのことだが、吉永氏によると、(1)顧客の人生ゴールの特定、(2)ゴール実現へのシナリオの設定、(3)投資の提案と実行、(4)定時・随時のレビュー、の4つのプロセスを循環する営業手法だという。

 この場合、人生のゴールとは退職時の資産残高目標といった狭義の金融的ゴールではなく、子や孫の教育、社会貢献、死後の遺族の生活など、将来目指す姿を広く含む具体的な目標のことだ。証券会社の営業員が、顧客の家族構成に対する質問などから始まって、顧客の人生のゴールを聞き出すのだ。その上で、資産運用の提案を行い、主にラップ口座を使って顧客の預かり資産の運用から手数料を取る、という流れになる。

 記事によると、米国の大手対面証券3社(メリルリンチ、モルガンスタンレー、UBS)の個人部門預かり資産に占めるラップ資産比率は3分の1を超えており、まだ上昇中だ。また、モルガンスタンレーでは、営業員一人当たりの担当顧客数と顧客当たりの純営業収益が、2000年に387世帯・1027ドルだったものが、2014年には256世帯・4254ドルに変化したという。顧客を絞り込みつつ、顧客一人当たりの収益を4倍にもしているのだから、一定の成功を収めていると見ていいだろう。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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