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『週刊ダイヤモンド』特別レポート

FIFA汚職事件の背景にある
ブラッター会長と「金」の歴史

サイモン・クーパー(英「フィナンシャル・タイムズ」コラムニスト)

週刊ダイヤモンド編集部
2015年6月24日
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6月2日に辞任を表明したブラッター氏だが、辞任撤回の報道も出ている Photo:REUTERS/アフロ

5月、FIFA(国際サッカー連盟)幹部16人が逮捕された。FIFAにはびこる金権体質にメスを入れたこの事件はサッカー界を揺るがし、会長のゼップ・ブラッターも辞任を表明した。FIFAと金の関係を10年以上追い続ける第一人者のジャーナリストに緊急寄稿してもらった。(翻訳協力:ジョシュア・ウィッティグ)

 2008年、私は、欧州チャンピオンズリーグ決勝の観戦のため、モスクワを訪れていた。欧州サッカーの権威であるUEFA(欧州サッカー連盟)による招待だった。

 私にあてがわれたのは、五つ星ホテルの、とてつもなく豪華な部屋だった。到着するやいなや、向かいの豪華客室に、ある男が滞在しているのに気付いた。ゼップ・ブラッターだった。

 ある午後、ホテルの廊下で、2人の女性がマッサージテーブルを抱えて、彼の部屋の横で待っているところに出くわした。

 「ブラッター氏がどこにいるか分かりますか?」と、彼女らは私に尋ねた。彼は、マッサージ(性的なものではないことは疑いようもないが)を予約していたのだ。私は、彼に代わって不在をわびた。

 これが、6月2日に辞任を表明したFIFA(国際サッカー連盟)会長の日常だったのだ。

 こうした日常は、ブラッターに限らずFIFAの上層部たちにとってかなり前から典型的な光景であり、恐らく、今後も長きにわたって続くはずだ。私は1990年代から、FIFAについて書いているが、これまで見てきたものは、こう表現できる。彼らは、自らを「サッカーの家族」と呼ぶのだが、自分たちこそがゲームの支配者だと考えている──。

 これは、FIFAに染み付いた体質だ。だから、ブラッター自身を交代させる経緯も大変だったが、さらに、腐敗にまみれた老人たちの組織、つまり、FIFA自体を変えていくのはさらに困難になるはずだ。

 現代のFIFAが形作られたのは74年、ブラジル人のジョアン・アベランジェが会長に就任したときにさかのぼる。世界中でテレビが隆盛になったおかげで、FIFAの持つ唯一の重要な資産ともいえる、サッカーワールドカップ(W杯)が、このころからお金を生み出すようになったのだ。

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