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鈴木寛「混沌社会を生き抜くためのインテリジェンス」

18歳新有権者に政治リテラシーをどう教育すべきか

鈴木寛 [文部科学大臣補佐官、東京大学・慶応義塾大学教授]
【第33回】 2015年6月25日
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予想外の影響をもたらし得る
高校生の政治参画

 こんにちは、鈴木寛です。

 先週の国会で改正公職選挙法が成立し、次回の国政選挙から選挙権年齢が「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられることが正式に決まりました。

 大阪の住民投票で話題になった「シルバーデモクラシー」の問題を打破するのは難しいと思いますが、長期低落傾向にあった若い世代の投票率が少しでも浮上し、政治参画年齢を引き下げたことで様々な社会的効果が出てくることが期待されます。240万人という新しい有権者の出現に伴って、選挙のマジョリティーである高齢者に配慮せざるを得なかった政治家・政党に、多少の変化、場合によっては予想し得なかった事態が生まれるかもしれません。

 18歳の有権者の中には高校3年生がいます。新制度が最初に適用される公算が高い来年の参院選は来年7月に投開票日が設定されるとみられますが、過去2度の衆院選は年末でした。ただ、年明けには毎年大学入試センター試験があります。過去2回の年末総選挙は野田、安倍両総理の解散によって断行されましたが、センター試験は例年50万人もの受験生がいて社会的な影響が小さくはありません。

 もし今後の衆院選で受験シーズン中に解散総選挙となると、世論の思わぬ批判を受けることがあるかもしれません。選挙権年齢引き下げは、もしかしたら時の総理の解散権を思わぬ形で縛る、という政治日程上の影響が出てくる可能性もあるとみています。

 他方で、一部の方に、大学受験シーズンと選挙がぶつかる可能性から投票年齢引き下げに反対する意見があるそうです。しかし目的と手段を履き違えるとはまさにそのこと。大学進学は、社会人、市民社会の一員として必要な知識や教養を学ぶためであり、社会関心の醸成に直結する投票経験は、わずかな所要時間で大学進学への意欲や動機付けに大いにプラスになると思います。そのような意見に首をかしげるばかりです。

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鈴木 寛 [文部科学大臣補佐官、東京大学・慶応義塾大学教授]

すずき・かん/元文部科学副大臣、参議院議員。1964年生まれ。東京大学法学部卒業後、86年通産省入省。2001年参議院議員初当選(東京都)。民主党政権では文部科学副大臣を2期務めるなど、教育、医療、スポーツ・文化を中心に活動。党憲法調査会事務局長、参議院憲法審査会幹事などを歴任。13年7月の参院選で落選。同年11月、民主党離党。14年から国立・私立大の正規教員を兼任するクロス・アポイントメント第1号として東京大学、慶応義塾大学の教授に就任。同年、日本サッカー協会理事。15年2月から文部科学大臣補佐官として大学入試改革などを担当している。


鈴木寛「混沌社会を生き抜くためのインテリジェンス」

インテリジェンスとは「国家安全保障にとって重要な、ある種のインフォメーションから、要求、収集、分析というプロセスを経て生産され、政策決定者に提供されるプロダクト」と定義されています。いまの日本社会を漫然と過ごしていると、マスメディアから流される情報の濁流に流されていってしまいます。本連載では既存のマスメディアが流す論点とは違う、鈴木寛氏独自の視点で考察された情報をお届けします。

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