18歳新有権者に政治リテラシーをどう教育すべきか

予想外の影響をもたらし得る
高校生の政治参画

 こんにちは、鈴木寛です。

 先週の国会で改正公職選挙法が成立し、次回の国政選挙から選挙権年齢が「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられることが正式に決まりました。

 大阪の住民投票で話題になった「シルバーデモクラシー」の問題を打破するのは難しいと思いますが、長期低落傾向にあった若い世代の投票率が少しでも浮上し、政治参画年齢を引き下げたことで様々な社会的効果が出てくることが期待されます。240万人という新しい有権者の出現に伴って、選挙のマジョリティーである高齢者に配慮せざるを得なかった政治家・政党に、多少の変化、場合によっては予想し得なかった事態が生まれるかもしれません。

 18歳の有権者の中には高校3年生がいます。新制度が最初に適用される公算が高い来年の参院選は来年7月に投開票日が設定されるとみられますが、過去2度の衆院選は年末でした。ただ、年明けには毎年大学入試センター試験があります。過去2回の年末総選挙は野田、安倍両総理の解散によって断行されましたが、センター試験は例年50万人もの受験生がいて社会的な影響が小さくはありません。

 もし今後の衆院選で受験シーズン中に解散総選挙となると、世論の思わぬ批判を受けることがあるかもしれません。選挙権年齢引き下げは、もしかしたら時の総理の解散権を思わぬ形で縛る、という政治日程上の影響が出てくる可能性もあるとみています。

 他方で、一部の方に、大学受験シーズンと選挙がぶつかる可能性から投票年齢引き下げに反対する意見があるそうです。しかし目的と手段を履き違えるとはまさにそのこと。大学進学は、社会人、市民社会の一員として必要な知識や教養を学ぶためであり、社会関心の醸成に直結する投票経験は、わずかな所要時間で大学進学への意欲や動機付けに大いにプラスになると思います。そのような意見に首をかしげるばかりです。