ガラケー消滅のニュースが駆け巡った今年4月。いよいよスマホデビューを余儀なくされるのかと失望したユーザーも多いだろう。手になじんだ、あの携帯は一体いつまで使えるのか?携帯キャリアとメーカーに聞いてみた。

本当に消滅のXデーは来るのか?
意外に根強いガラケー人気

 アップルのiPhoneをはじめとするスマホの普及によって、すっかり日陰に追いやられたガラケー。NTTドコモやソフトバンク、auといったキャリア大手もスマホへの買い替えを促す戦略を取ってきた。

「ガラケー生産中止」の一報がファンを悲しませたが、あまり将来を悲観することはなさそうだ (写真提供:パナソニックモバイルコミュニケーションズ)

「いつかはなくなる運命なのか?」。そんなガラケーユーザーたちの不安に火をつけたのが、今年4月の日本経済新聞の「従来型携帯(ガラケー)生産終了」と題した記事だった。

 それに先立つこと2ヵ月前、auはガラケー端末だがOSにAndroidを採用した「ガラホ」を発売した。しかし、「ガラケーとガラホはどこまで同じなのか?」という疑問を抱いたユーザーも少なくないだろう。

 こうしたユーザーの疑問を整理すべく、キャリアとメーカーに取材をしてみた。結論から言うと、ガラケーと同じか、ほぼ同等の製品は、今後も使い続けることができる。キャリアやメーカーはガラケーのことを「フィーチャーフォン」と呼んでいる。そして、ガラホのことも「フィーチャーフォン」と呼んでいる。つまり、OSの違いなどはあるにせよ、同じカテゴリーの商品だという認識なのだ。

 ではなぜ、ガラケーを作り続けるのではなく、ガラホを誕生させたのか?それは、OSをAndroidに変えることで、「チップセット」と呼ばれる電子部品が、従来OSに比べると簡単に、かつ安いコストで調達できるからだ。従来OSの部品は今後、どんどん調達が難しくなる懸念がある。

 しかし、OSを変えたからといって、まったく違う商品にするつもりはなく、むしろ「ガラケーそのままの使い勝手や料金を念頭に、ガラホを開発しました」(富田圭・NTTドコモプロダクト部第一商品企画担当)。auはドコモと比べると高機能なガラホを出しているが、それでもガラケーユーザーが戸惑うようなつくりにはしていない。

 スマホ普及に伴って、ガラケーは市場から消えるはず。かつてキャリアたちはこう考えていた。しかしこの数年、ガラケー保有台数は下げ止まり、昨年は出荷台数が7年ぶりに増加に転じるという現象も起きた。

 今でも携帯保有者の約4割、ユーザーの年齢層の高いドコモに関しては約5割もの顧客がガラケーユーザー。「ガラケーはこのまま、生き残るのかもしれない」。そう考え方を変えたキャリアやメーカーたちが、今後も安定して供給できるように開発をしたのが、ガラホだったというわけだ。