「あれも大事、これも大事」と悩むのではなく、「何が本質なのか?」を考え抜く。そして、本当に大切な1%に100%集中する。シンプルに考えなければ、何も成し遂げることはできない――。LINE(株)CEO退任後、ゼロから新事業「C CHANNEL」を立ち上げた森川亮氏は、何を考え、何をしてきたのか?本連載では、待望の初著作『シンプルに考える』(ダイヤモンド社)から、森川氏の仕事術のエッセンスをご紹介します。
「失敗してもいいから、挑戦しよう」は間違い!
「失敗してもいいから、挑戦しよう」
よく耳にする言葉です。しかし、僕はこれまで自分の仕事に対して「失敗してもいい」と考えたことはありません。たしかに、人生における最大の失敗は、失敗を恐れて何も挑戦しないことです。しかし、だからと言って、「失敗してもいい」というのはあまりにも無責任だと思うのです。
ユーザーは貴重なお金と時間を使って、商品やサービスを使ってくださるのです。にもかかわらず、「失敗したっていい」などというのは失礼ではないでしょうか? それに、そのプロダクトをつくるために投資をした人もいる。そのような無責任な姿勢で仕事に向き合うのは、プロフェショナルとして許されないと僕は思っています。
LINE株式会社の「すごい人」たちも同じ感覚で仕事に向き合っています。彼らには、「失敗してもいい」などという甘えは一切ない。むしろ、自分に対しても他者に対しても、失敗には厳しい。自由な社風ですが、生半可な気持ちで仕事ができるような「ユルさ」はみじんもありません。
もちろん、この世に約束された成功など存在しません。
何事もやってみなければ成功するかどうかはわからない。新商品は常に賭け。「絶対に成功する」などということはありえない。それは、僕自身、骨身に沁みてわかっています。だからこそ、成功するために安易な妥協はしない。そして、「絶対に成功する」という確信がもてるまで、ありとあらゆる努力をする。それが、「すごい人」たちに共通する姿勢なのです。