「取り締まりが厳しすぎる」「マジで容赦ないわ」――。ネット上にこんな悲鳴が溢れているのが、6月1日の道路交通法改正によって厳しくなった自転車の「ルール違反」の取り締まりだ。よく調べると、自転車に関する禁止行為は驚くほどたくさんある。中には「え、そんなものも?」と驚くものも少なくない。この機に、自転車の交通ルールを改めて総ざらいしてみたい。(取材・文/有井太郎、協力/プレスラボ)

「マジで厳しい!」「容赦ないわ」
道交法改正以降、巷に溢れる悲鳴

「取り締まりがハンパない」と悲鳴続出 <br />自転車の交通ルール違反はどう変わった?(上)自転車は左側の車道を走ることが大前提だが……今までまったく意識していなかった人も

「自転車に乗ってスマホを使ったら、罰金刑になるかも!?」

 2015年6月1日から、道路交通法が改正された。今回、改正のターゲットとなったのは「自転車のルール違反」。3年以内に2回以上の交通ルール違反をした14歳以上の者には、安全講習の受講が義務付けられたのだ。もし受講しなければ、5万円以下の罰金刑が適用される。自転車乗りにとっては、不安を感じる改正だ。

 改正から1ヵ月あまりが経ったが、すでに「警察の注意を受けた」「取り締まられた」「注意が厳しすぎる」「マジで容赦ないわ」といった声が、ツイッター上に続出している。「なぜこんなことで怒られるの?」という困惑の声も少なくない。自転車は、我々にとって最も身近な乗り物だ。通学に自転車を使う中高生ばかりでなく、「毎朝、家から駅まで自転車で通勤している」「休みの日にぷらっと近所の公園まで自転車で行くのが好き」というビジネスマン諸氏も多いことだろう。これは看過できない事態である。

 そこで今回は、道交法改正によって自転車の交通ルールがどう変わったかを、改めておさらいしてみよう。

 そもそも道交法改正は、どんな経緯で決まったのか。近年、自転車のルール違反が問題視されてきた。警視庁のデータによれば、全体の事故件数に占める「自転車乗用中の事故」の割合は、約2割に上っている。また平成25年には、小学5年生の乗った自転車が歩行者と衝突。自転車に乗っていた少年の母親に、約9500万円の賠償を命じるケースが発生した。

 このような背景もあり、今回の道交法改正が実現したのだ。14項目の「危険行為」を定め、それを繰り返し行った者には、安全講習の受講を義務付けたのである。