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真山仁の時代を読む
【第6回】 2015年6月30日
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真山仁

累計195万部超と大ヒット『ハゲタカ』シリーズ
大阪の町工場が舞台となる最新作の魅力

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累計195万部超の大ヒット小説『ハゲタカ』シリーズがいよいよ帰ってきます! 7月6日の全国発売を前に、新作『ハゲタカ外伝 スパイラル』の位置づけと内容の一部をご紹介していきます。

 「日本を買い叩く」――そう宣言し、日本企業に次々と買収を仕掛けていく“ハゲタカ”外資系投資ファンド社長の鷲津政彦(わしづまさひこ)。“神鷲(ゴールデン・イーグル)”の異名をもつ鷲津に翻弄されながら、時に対立し、あるいは協力して企業再生に挑む元エリート銀行員で事業再生家の芝野健夫(しばのたけお)。二人を軸に現代の企業社会を描き出す『ハゲタカ』シリーズは、2004〜2013年に発表された計4作で、累計発行195万部を超える大ヒットを記録しています。

 第1作の舞台は1997〜2004年の日本でした。バブル崩壊から立ち直れず、金融業界の自由化、いわゆる日本版ビッグバンが始まり、97年の山一證券の廃業に象徴される金融業界の大再編が起こります。

 激震が走ったのは、金融界にとどまりませんでした。日産自動車が仏ルノー傘下に降り、そごうやマイカルが民事再生法適用を申請するなど、大手や老舗の看板は通用しなくなりました。同時に企業の敵対的買収も急増し、村上ファンドやライブドア、楽天が台頭したのです。

 いまや大企業の安定性は過去のものとなり、合併や買収の話題は経営者から一般の従業員に至るすべてのビジネスパーソンにとって身近になりました。『ハゲタカ』シリーズはそんな時代の息づかいをそのままに、主人公の鷲津があらゆる金融手法と情報戦を駆使して買収を進め、そのライバル的な存在として芝野が描かれます。

 物語のスケールも、作品を追うごとに増しています。第2作は繊維業界の老舗・鈴紡や大手電機メーカー・曙電機が標的となり、第3作では中国の買収王が自動車メーカー・アカマ自動車を襲いました。そして第4作では、鷲津がなんとアメリカ屈指の巨大メーカー、アメリカン・ドリーム社に買収を仕掛けます。

 シリーズに通底するテーマは、“ハゲタカ”外資系金融機関への批判ではありません。むしろ、彼らをやり玉にあげながら、変革を恐れ課題解決を先送りする日本企業や日本人に、みずから選んだ未来を受け入れる「覚悟」をこそ問われているのです。そして第1作から約10年を経た今も、私たちには同じ問いが投げかけられているのではないでしょうか。

 いよいよ今秋、シリーズ最新作となる第5作『シンドローム』の新連載も、週刊ダイヤモンドでスタートする予定です。鷲津が次に狙うは、大震災後の電力会社。「震災復興」すらビジネスチャンスと考える鷲津に勝機はあるのでしょうか。

待望のスピンアウト『ハゲタカ外伝 スパイラル』とは?

 そして今回、シリーズで初めてのスピンアウト単行本『ハゲタカ外伝 スパイラル』が発売されます。

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真山仁 

まやま・じん。小説家。1962年大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。新聞記者、フリーライターを経て、2004年、企業買収をめぐる熱き人間ドラマ『ハゲタカ』でデビュー。2007年に『ハゲタカ』『ハゲタカ2(『バイアウト』改題)』を原作とするNHK土曜ドラマ『ハゲタカ』が放映され、大きな反響を呼ぶ。同ドラマは国内外で多数の賞を受賞した。また、地熱発電をテーマにした『マグマ』も、2012年にWOWOWでドラマ化された。その他の著書に、日本の食と農業に斬り込んだ『黙示』、中国での原発建設を描いた『ベイジン』、短篇集『プライド』、3.11後の政治を舞台にした『コラプティオ』、「ハゲタカ」シリーズ第4弾となる『グリード』、『そして、星の輝く夜がくる』などがある。10/30に最新刊『売国』(文藝春秋)を刊行予定。2014年でデビュー10周年を迎えた。

 


真山仁の時代を読む

2004年に外資系バイアウト・ファンドの内実を描く『ハゲタカ』で鮮烈なデビューを飾って以来、日本の「今」を見つめながら数々の問題作を世に送り出してきた作家の真山仁さん。2014〜2015年は新刊作品や新連載も目白押しであり、本連載ではデビュー10周年を記念して、様々なインタビューや講演録など、真山さんの作品に込めた思いや作品作りの裏側をご紹介していきます。

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