前回は「放置プレーは禁物」と申し上げました。「アフター5まで拘束されるのは嫌だ」という声がある反面で、「でも、適度にかまってほしい」と思っている若手たち。ここでは、入社3年目までの若手を念頭に話しを進めますが、今回は少し極端な例を挙げます。“過度に”かまうことも、また逆効果、というお話しです。
「報・連・相」の悪用は
若手の成長を阻害する
「適度なかまい方、とか、お前は曖昧なことを言うけどさ」。大手メーカーで営業課長を務める友人の話は続きます。
「具体的には、どうすればいいんだ?そもそもおれ自身がキチンとかまってもらった経験がないんだ。会社に入って数年のうちにリストラの嵐と、採用凍結。上も下も、ほとんどいない状態だったんだからな」
私たちが大学を卒業して会社に入ったのは80年代後半のこと。最初は空前の好景気でイケイケの日々でしたが、ほどなくバブル崩壊。皆様もご存知の不況の始まりです。
「具体的にどうするか、か。それは、おいおい話すとしよう。逆に、かまいすぎたらどうなるか考えてみる、ってのはどうだ?」
「ああ、若手の私生活まで介入するような行き過ぎの例か?」
「そういうこともある。報・連・相の悪用、ってケースだ」
会社に入った新人が、真っ先に教わる仕事のルールに「報・連・相」があります。報告も連絡も相談も、もちろん仕事を進め、成果を出すには必要不可欠です。
前回お話しした「放置プレー」は、言い換えると上司・先輩が報・連・相に応じないこと、でもあります。あるいは、報・連・相を恣意的もしくは選択的に押し付けるケースもあるでしょう。それは、若手のコミュニケーション意欲を挫き、弱り目の状態での深い孤独に追いやります。
それとは真逆の「過度な干渉」も、若手にとってはモチベーションの障害になり、成長を阻害する要因となります。
「そういえば、うちの会社にも1人いるな。オレより4、5歳上だけど」と友人は言います。
「なんか上司と部下というより、親分・子分っていう意識みたい。ちょっと極端だけど、例えば昼メシに行くのにも“だれとどこに行くんだ”とか、異様にうるさい。社外の人間とのやり取りにも、チェックを入れてる」
「部下はどんな反応だ?」
「表面的にはおとなしくしてる。でも、同期との間では文句タラタラみたいだな。」
「そりゃ、そうだろ」
「そういえば、彼のところでも今年、何人か辞めたはずだ。たしか新入社員も一人辞めたっけ」
読者の皆様なら、この過干渉上司の下で働きたいと思いますか?