ツィプラス・ギリシャ首相(写真)の強硬姿勢は、結局のところギリシャ自身を追い込む結果になった Photo:AP/AFLO

IMFの融資は“事実上のデフォルト”に
ただし直接的な影響は小さい

 6月30日、ギリシャのIMF(国際通貨基金)による融資15億ユーロの返済期限が、ついに到来した。同国が国内から資金をかき集めて支払いに応じる確率もゼロではないが、そうなる可能性は限りなく低い。

 また、本日をもって、EUによるギリシャ支援プログラムも終了する。ギリシャ側が、IMFやEUなどの債権団が提案した支援条件を拒否した結果であり、同国が態度を改めて譲歩した新たな提案を行わない限り、支援延長等の新たな手当てがEU側から出る可能性も極めて低い。

 6月30日の支払い期限は従来、ギリシャ問題をめぐる一つの大きな節目とされてきた。だが、市場にとっても関係者にとっても、もはや重要事とは見なされていない。ギリシャが支払えないのはすでに「前提」であり、焦点はその後に移っている。

 本日中に支払いが行われなければ、IMFへの返済は「延滞」という扱いになる。格付け機関等は、IMF向けの債券は通常と異なり、定義上はデフォルト(債務不履行)と見なさない、としているが、“事実上のデフォルト”である。IMFは当然、今後も返済を求めていくことになるが、成り行きによってはこれまで行った融資が焦げ付く可能性もある。

 もっとも、「ある程度の損失引き当てはすでになされている」(村田雅志・ブラウン・ブラザーズ・ハリマン通貨ストラテジスト)ため、そうなったとしても直接的な影響は小さい。また逆にIMFへの支払いが行われたとしても、後述する今後の返済や債務償還のための資金がギリシャにないのは火を見るよりも明らかで、「実態としては状況に何ら変わりはない」(丸山義正・SMBC日興証券シニアエコノミスト)。

 むしろ、重要なのはECB(欧州中央銀行)が行っているギリシャ国内の銀行への資金供給、EU各国がEFSF(欧州金融安定基金)を通じて行ってきた金融支援に、これがどう影響するかである。具体的には、ECBは資金供給を続けるのか、EFSFは自身の持つ債券もデフォルトと判断するのか否か、だ。