乳首を反射的に吸うことから
「積極的に探して吸う」ことヘ

 お母さんは、赤ちゃんの生まれつきの反射を、自分でする反応に変えていかねばなりません。首がすわるころになると、この反射が弱くなるか、消えていきます。

 生まれたばかりのときには、くちびるになにかがふれたら、必ず吸う反射をしていたのに、しばらくたつと(極端な場合は生後2日目に起こることもあります)、授乳のときでもないのに、口を開けたり閉じたりして、吸う運動をするようになります。

 乳首が赤ちゃんのくちびるにふれなくても、吸う反応をするようになります。吸う運動の回数が日を追って多くなるばかりでなく、吸う力も日を追って強くなっていきます。

 生まれて3週間もたてば、自分で乳首を探すような動きをしだします。

 これは、赤ちゃんが吸う反射から、吸う反応を学習したといえます。

 こうして、くちびるにふれるものに無条件で吸いついていた反射が起こらなくなり、お腹がすいているときでも、乳首とそうでないものとを区別するようになっていきます。

 赤ちゃんは、乳首の形を知って区別するのではなく、乳首の刺激―吸う反射の運動パターンをくり返します。そして乳が出るという組みあわせが強化されて、吸う反応をしますが、乳首以外の刺激で吸っても乳が出ないと、吸う反応が消えて乳を吸わなくなるのです。

 こうして吸う運動パターンを乳首以外の刺激にも行ない、また刺激がなくても行ないながら、乳首とそれ以外のものを区別するのです。

 外からの刺激が、正しく動機づけられたときに、正しく反応をすることで経験をつみ、外の世界を知っていきます。つまり学習するのです。

 毎日の授乳のときに、一日でも早く、吸う反射が吸う反応に変わるよう、吸う力が強くなるよう、吸うための筋肉が協調して働くように、積極的に試みて、少しずつ学習をさせていきます。

 このように反射が、反応に変わっていく過程を「反射の同化」と呼びます。
前頭前野と運動野が働いて、自分が反応をするようになるのです。

反射を利用して自分で反応をすることをすすめる育児書は、本書以外にはありません。私たちがこれを利用することを考え、実用化しました。

 この時期の学習は反射にもとづくものだけで、それ以外の学習は不可能です。たとえば、目に大きい刺激を与え(ものを大きく動かして見せる)、反応させようとしても無意味です。