ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
小宮一慶の週末経営塾

社員は、平常時は給料に、
しんどい時はビジョン・理念についてくる

小宮一慶
【第13回】 2015年7月18日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

女性社員が放った一言
「社長のセルシオのために働いてるかと思うとアホらしい」

 もう20年近く前のことですが、今でも忘れられない出来事があります。

小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 ある事情があって潰れる直前の会社で研修を行ったことがあります。その会社は、研修の1ヵ月ぐらい前には、それまで40人いた従業員が、解雇されたり自主的に辞めたりするなどして20人ぐらいに減ってしまいました。給与の支払いも遅れ、ボーナスも出ない、いわば“末期的症状”でした。実際、その会社は研修後半月ほどで倒産しました。

 研修では、従業員さんに、「思っていることを話してください」と、ひとりずつ前に出て話してもらいました。そのなかで、新入社員からこの会社に入った入社2年目の女性社員が言った一言を、私は、一生、忘れないだろうと思います。

 彼女は、こう言ったのです。

 「社長のセルシオのために働いていると思うと、アホらしくて働けない」

 その女性社員は、社長の私利私欲のために働かされていると感じていたのでしょう。研修後、ほどなくして会社そのものが潰れてしまいましたが、彼女の憤りは察するに余りあります。この話を聞いて、私は、そのときに分かったことがあります。

 「社員は、会社が通常のときには給料についてくる。
 しかし、しんどいときにはビジョンや理念についてくる」

 社員は、平常時は、どんなにイヤな社長がいる会社でも、社風の悪い会社でも自分の生活のために我慢して働きます。すぐに独立したり、転職できる人ばかりではありませんから、会社からノルマを課せられても、社長の志が低くても、どうにか頑張ることができるのです。

 けれども、会社そのものが傾きかけたときには、それでは無理です。お金も十分に払えず、先の見通しも立たない状況です。そんなときこそ、経営者が社会のために貢献する高い志だとか、「お客さまのため、良い商品やサービスを作り続けていこう」という理念やビジョンなどの存在意義が浸透しているかが、社員がついて行こうとするかどうかの最後の拠り所となるのです。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

小宮一慶

京都大学法学部卒業。米国ダートマス大学タック経営大学院留学(MBA)、東京銀行、岡本アソシエイツ、日本福祉サービス (現、セントケア)を経て独立し現職。名古屋大学客員教授(平成26年度後期)。企業規模、業種を超えた「経営の原理原則」を元に、幅広く経営コンサルティング活動を行う一方、年100回以上講演を行う。『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』(ディスカヴァー21)など著書は100冊を超え、現在も経済紙等に連載を抱える。


小宮一慶の週末経営塾

経営課題を抱えて日々悩む経営者に向けて、数々の企業経営者に伴走してきた経営コンサルタントの小宮一慶氏が課題解決の「ヒント」を提供。どんな業種にも通じる経営の原理原則をおさえながら、経営者はどうあるべきか、実際の経営現場で何を実行すべきか、を語る。

「小宮一慶の週末経営塾」

⇒バックナンバー一覧