孫子からクリステンセンまで、3000年に及ぶ古今東西の戦略エッセンスをまとめた書籍『戦略の教室』から、特に有名な10の戦略を紹介する連載。第7回は影響を受けた日本の経営者も多い不朽の名著『ビジョナリー・カンパニー』の組織戦略。永続する企業から“発見”した、驚くべき8つの法則とは?

ベストセラーが明かした企業の「永続の法則」

「永続」している会社がどんな特徴を持っているのか? ビジネスの世界に身を置く人なら、ぜひ知りたい謎の解明に挑んだ書籍があります。

 マッキンゼー出身のジェームズ・C・コリンズと、GE出身のスタンフォード大学教授ジェリー・I・ポラスによって書かれた『ビジョナリー・カンパニー』です

 同書は1994年に出版され、五年連続全米でベストセラーとなりました。当時、100万人以上のアメリカのビジネスマンを夢中にさせた本です。

 3M、アメリカン・エキスプレス、ボーイング、GE、IBM、ジョンソン・エンド・ジョンソン、マリオット、メルク、P&G、ソニー、ウォルト・ディズニーなど、「最高のなかの最高」の優良企業が、なぜ時代の変遷を乗り越えて、ライバル企業よりも優れた業績を上げてきたのか。同書は調査から始まる書籍であり、その分析も大変ユニークです。

【ビジョナリー・カンパニーの定義】
・業界で卓越した企業である
・見識のある経営者や企業幹部の間で、広く尊敬されている
・私たちが暮らす社会に、消えることのない足跡を残している
・最高経営責任者(CEO)が世代交代している
・当初の主力商品のライフサイクルを超えて繁栄している
・1950年以前に設立されている

 ビジョナリーとは「先見性」や「未来志向」を意味します。著者たちは調査の開始に、フォーチュン誌、インク誌の企業ランキングから700社を選び出し、CEOにアンケートへの協力を依頼。集計により、リストの上位20社の特徴を徹底的に検証していきます。