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国立競技場計画の見直しで泣きを見るのは誰か

週刊ダイヤモンド編集部
2015年7月28日
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 巨額の費用が問題となり、ゼロベースからの見直しとなった国立競技場の建て替え問題。それに伴い、同時進行していた周辺の神宮外苑一帯の再開発計画にも、見直しの余波が及んでいる。

 そもそも神宮外苑は、景観保全のために、15メートルという高さ制限が設けられている。ところが、高さ70メートルの新国立競技場の建設が決まったことで、いわば“特例”という形で、容積率や高さ制限の緩和がなされた。それが、東京都都市整備局による「再開発等促進区」の適用だ。

 そのきっかけとなったのが、2012年4月に行われた新競技場のデザインコンペの基準作りに向けた、「国立競技場将来構想ワーキンググループ(WG)」だ。

 このWGにおいて都市整備局の技監が、「サブトラックは必ずしも恒久的施設である必要はなく、場所を決めなくても都市計画作りを行うことは可能」(議事録)と発言したことで、特例が認められる機運が高まった。

 その後、事業主体である日本スポーツ振興センター(JSC)が、新国立競技場と神宮外苑の地区計画を作成。新競技場の高さは促進区の運用基準を超えていたが、都は「周辺市街地への影響に支障がない場合、この限りでない」という“ただし書き”によって建設を認めた。

 これらの連携によって、神宮外苑は建築物の容積率や高さが緩和されたというわけだ。

 この規制緩和でメリットを享受できるのは、明治神宮、JSC、高度技術社会推進協会、伊藤忠商事、日本オラクル、三井不動産といった地権者たちで、今年4月には、都とまちづくりの覚書を締結している。

 もっとも都市整備局の担当者は、「都の希望は神宮球場と秩父宮ラグビー場の入れ替え。ほかに何ができるかは地権者次第」という。

 一方、地権者の間では「コンセンサスが取れている事案は何もない」というが、周辺には新たな商業施設、オフィスや住宅など、およそスポーツ振興とは関係ない施設ができるかもしれない。ただ、今回の見直しで地区計画も白紙になる可能性がある。そうなれば、再開発を当て込んでいた関係者は泣きを見ることになる。

(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 大根田康介)

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