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アメリカ、ロシア、中国、イスラム圏を知ればこの複雑な世界が手に取るようにわかる
【第2回】 2015年8月3日
著者・コラム紹介バックナンバー
惠谷 治 [軍事ジャーナリスト]

TPPの本当の狙いは、中国を封じ込めるため

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新聞やTVの断片的な情報だけでは、めまぐるしく変わる世界情勢は根本的には理解できない。ニュースの前に、知っておくべき基礎知識というのがある。
私の『アメリカ、ロシア、中国、イスラム圏を知れば、この複雑な世界が手に取るようにわかる』という著書の中で、この「知っておくべき」基礎知識を集めたが、今回はTPPについて紹介する。

TPPの本当の狙いは、中国を封じ込めるため

 2010年に提唱された「TPP(環太平洋パートナーシップ協定)」の目標は、アジア太平洋地域の貿易での、高い自由化である。2015年現在、日米を含む12ヵ国が非関税にする分野の取り決めや、新しい貿易形態で互いが不利にならないよう交渉を続けている。

 このTPPには、「知的財産権の保護」「人権重視」「環境保護」なども盛り込まれている。これが実はTPPの狙いで、中国への対策なのである。
TPPは中国に対する、各国の安全保障を強化するための新たな枠組みなのだ。東南アジア諸国及び日本が、これから大きく海洋進出してくるであろう中国に対抗するという意味あいもあるのが、TPPである。

 こうした「中国包囲網」に対して、中国の習近平国家主席が提唱したのが「AIIB(アジア・インフラ投資銀行)」の設立だ。
名称の通り、アジア地域のインフラ整備の支援を目的とする。すでにアジアには、1966年に日米が最大出資国として設立した「アジア開発銀行(ADB)」があるが、中国はこれに対抗してAIIBを設立し、アジア地域での影響力を強めようとしている。

 現在、日米欧は、AIIBに歯止めをかけるため、共同出資事業という形で影響力を及ぼそうと模索している。

TPPのメリット
◎貿易の自由化で輸出額拡大
◎大手製造業は企業内貿易が効率化
◎GDPは10年間で2.7兆円

TPPのデメリット
◎デフレ
◎医療格差が拡大
◎国内農業がダメージ
◎食の安全が確保されない

AIIBの何が問題なのか
◎最大出資国である中国が融資先を決める可能性がある
◎有志国に対する審査基準が明確でないままで、融資される可能性がある
◎その結果、ワイロの温床になる可能性がある

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惠谷 治 [軍事ジャーナリスト]

1949年、東京生まれの尾道育ち。早稲田大学法学部卒。早大探検部OB。卒業後はアラブ、アフリカなどイスラム圏の戦場や紛争地帯、東西冷戦中は主としてソ連を中心に共産圏を取材する。
民族紛争、軍事情報に精通するジャーナリスト。綿密な取材と、独自の情報源による正確な分析力に定評がある。特に北朝鮮問題に関する分析は、海外のメディアからも注目を集めている。
防衛庁防衛研修所非常勤講師、青山学院大学非常勤講師、早稲田大学アジア研究所客員教授などを歴任。現在、海上保安庁政策アドバイザー、特定失踪者問題調査会常務理事、救う会「拉致の全貌と解決策調査プロジェクト」メンバー、早稲田大学アジア研究所招聘研究員。『西サハラ』『世界危険情報大地図館』『アフガン山岳戦従軍記』『世界テロ戦争』『北朝鮮はどんなふうに崩壊するのか』など著書多数。


アメリカ、ロシア、中国、イスラム圏を知ればこの複雑な世界が手に取るようにわかる

ポイントとなる「歴史」「現代の事件」さえ知っておけば、今と未来がわかり出す!
日々のニュースで流れてくる問題を知ろうとするなら、ニュースのことだけでなく、それに関係する国々の事情も知っておく必要がある。今、世界は複雑になりすぎていて、ニュースから読み取れる断片的な情報では、本質的な意味は分かりづらい。 ニュースを読む力をつけるために、いちばん手っ取り早いのは、「アメリカ」「ロシア」「中国」「イスラム圏」の4つの歴史と状況を知っておくことである。軍事ジャーナリストとしての経験の中から、最低限知っておけばいいトピックスを紹介する。

「アメリカ、ロシア、中国、イスラム圏を知ればこの複雑な世界が手に取るようにわかる」

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