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地盤沈下の労働市場で始まった
ワーキングプアの「静かなる逆襲」

2010年1月22日
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「働かざる者食うべからず」と言われたのも昔の話。今や働く者でも満足に食えない時代になった。そんな世相を象徴するのが「ワーキングプア問題」だ。ワーキングプアというキーワードがメディアを賑わすようになって久しいが、労働環境は一向に改善される気配を見せず、むしろ景気の低迷と共にますます深刻化していく懸念が強い。そんななか、企業や行政に頼らずに、“あの手この手”を講じて立ちあがる労働者が増え始めたのを、ご存知だろうか?(取材・文/友清 哲)

「働けど働けど、わが暮らし楽にならず・・・」。総務省が発表した昨年11月の完全失業率は、15~24歳の若年層が8.4%を占めた。ハローワークに長蛇の列ができる光景も、珍しくない。(撮影/宇佐見利明)

 「ワーキングプア」と呼ばれる立場にある人を探すことが、これほど簡単だとは思わなかった――。

 本稿執筆のために情報収集を始めた矢先に、筆者が抱いた正直な感想である。

 ワーキングプアという言葉の本来の意味は、「正社員並みのフルタイム労働をこなしながらも、相応の収入を得られず生活苦を強いられている人々」である。

 しかし、万人がイメージし易いこの言葉は、早い時期から独り歩きを始めた。最近では派遣などの非正規社員やフリーターのみならず、中小企業の正社員や非営利団体スタッフの中にさえ、自分自身を自虐的にこう呼ぶ人々が増えている。

 そもそもワーキングプアとは、法的な概念ではない。しかし、国税庁による「民間給与の実態調査」や総務省による「就業構造基本調査」など、国の統計データからは、“働く貧困層”の危機的な実態がありありと浮かび上がってくる。

 たとえば、国税庁の調査による「平成20年・給与階級別の給与所得者数・給与額」をひも解けば、全国の労働者のなかで、年収200万円以下の個人が全体の約31%を占めていることがわかる。

 数年前、格差社会を象徴した「年収300万円時代」という言葉が流行したが、現状はそれどころではない。昨今の大不況に追い討ちをかけられ、低収入に喘ぐワーキングプアが続出する段階に移っている。

もはや転職活動の余力すらなし!
「働く貧困層」の惨状と怨嗟の声

 「週5日、なんだかんだで毎日10時間以上働いていますが、月収は16万円前後。会社にいるぶんには食費を経費で出してもらえるので、朝は食べずに出勤、昼と夜をデスクで食べて帰宅する毎日。そうやって食費を抑えて、何とか生活できている感じです」

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