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「日本」を考える~私たちはどこへ向かうべきか

田中均、藤崎一郎、宮本雄二が徹底討論(上)
安定のアジア構築に日本が果たすべき役割

外務省OB3人が見据える「日本の進路」とは?

週刊ダイヤモンド編集部
【第8回】 2015年8月14日
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世界経済の軸は、いまアジアにシフトしつつある。だが、中国の台頭を背景に、政治・安全保障面では不安定な状況が続く。その中で、日本はどのような役割を果たすべきか。外交の第一線で活躍した田中均氏、藤崎一郎氏、宮本雄二氏の外務省OB3人が、徹底的に討論した。(インタビュー・構成/『週刊ダイヤモンド』論説委員 原 英次郎、撮影/住友一俊)

――今日は、これから安定したアジアを構築していくために、日本がどのような役割を果たせるかが、メインテーマです。日本を取り巻く国際情勢の変化から議論したいのですが、まずは冷戦終了までの国際情勢の特徴からスタートしたいと思います。1945年に第2次世界大戦が終ると、すぐに米国を盟主とする資本主義陣営(西側)とソ連(現ロシア)を盟主とする共産主義陣営(東側)の対立=東西冷戦が始まりました。冷戦時代も、ベトナム戦争、中東戦争などいくつかの戦争がありましたが、核抑止力を背景に、第1次、第2次世界大戦のような大国間の戦争は起こらなかったという意味で、長い平和が続きました。それはどうしてなのでしょうか。

国際連合は機能せず
戦後の外交は米国追従か

たかな・ひとし
日本総合研究所国際戦略研究所理事長(元外務審議官)。1947年生まれ。69年京都大学法学部卒業後、外務省入省。総合外交政策局総務課長、北米局審議官、経済局長、アジア大洋州局長、政務担当外務審議官など経て2005年退官。10年10月より現職。著書に『外交の力』(日本経済新聞出版社)など。近著に『日本外交の挑戦』(角川新書)

田中 やはり冷戦時代は、米ソが圧倒的な核兵器を保有し、その抑止力が働いていて大きな戦争は起こらなかったということだと思いますね。一方、経済面を見れば民主主義・資本主義体制の国々の経済力は強く、先進民主主義国7ヵ国(G7)が世界のGDP(国内総生産)の7割くらいを占めていたので、G7で国際経済面でも国際政治の面でも調整をすることが可能だった。具体的な例を挙げれば、プラザ合意のような為替の調整とか、石油ショック時の石油輸入の自主規制などです。根底には米国を中心とする価値の共有があったから、求心力が働いていた。

宮本 戦後の大きな国際秩序は、やはり米国がつくったと思います。第2次大戦が始まって間もなく、米国のルーズベルト大統領が、戦後どういう秩序で世界を再構築するかということを勉強させた。それが戦後の基本的秩序の柱になっていて、政治的には国際連合として結実したけれども、国際連合は米ソの対立で、機能しなくなったわけです。

 では、なぜ、冷戦時代には平和が保たれたかというと、ソ連(現ロシア)は米国に挑戦したけれども、常に圧倒的に米国が強かった。ソ連も核弾頭の数では米国を上回り、陸軍もソ連の方が強かったかもしれない。しかし、トータルな国力では圧倒的に米国の方が上だった。だから、基本的には米国がどんと構えてくれていたおかげで、国際秩序が安定し平和が維持されてきたのではないかと思います。

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「日本」を考える~私たちはどこへ向かうべきか

異例の延長国会で審議が続けられる安保法制、日中・日韓関係の緊張が続くなかで予定される安倍首相の「戦後70年談話」をはじめ、戦後長らく続いてきた日本の国家体制や国のポリシーを問い直そうとする動きが、足もとで出始めている。戦後70年を迎えた今、我々日本人が改めて日本という国の「形」を問い直すべき時期に差しかかっている。これまでの歴史的教訓も踏まえながら、日本はこれからどんな道を歩んでいくべきだろうか。様々な分野の識者が、独自の視点から「持ち続けるべき日本観」「新しい日本観」について提言する。読者諸氏も、ともに「日本」を考えてほしい。

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