シャープ、液晶事業を分社化 <br />敷かれ始めた再編への包囲網液晶事業の分社化で、シャープの解体がいよいよ幕を開けることになる Photo:JIJI

「前へ進もう」──。シャープが今年1月に発行した社内報「WIND」には、「燃える心と瞬発力」と題した、高橋興三社長の熱いメッセージが載っていた。

「再興」「変革のうねり」など改革が前進を続けているような言葉が随所にちりばめられ、社員の士気高揚につなげようとする経営陣の必死の思いが、垣間見える内容だった。

 それから半年。隔月発行の社内報は3月号を最後に刷られなくなり、前を向き奮起しているはずの社内の雰囲気は、完全に暗転してしまった。

 液晶事業を中心とした業績の悪化による2200億円超の巨額赤字の計上、シャープ単体での債務超過への転落、取引銀行による資本注入などによって、当初「余剰感はない」(高橋社長)と言い切っていた人員について、大幅な整理を迫られているからだ。

 7月27日から8月4日までの期間で、会社が募集した希望退職の人数は3500人。国内のグループ全体で15%に当たる規模だが、対象となる45歳から59歳までの社員で見た場合、3~4人に1人が会社を去る計算になるという。

 8月21日に配布される希望退職の「適用決定通知書」によって、最終的な人数が確定するが、3000人の大台は超えたもようだ。