夏休みということもあって、プロ野球の各球場には連日、大勢の観客が詰めかけている。

 セ・リーグは阪神が6連勝したことで、2位東京ヤクルトに3.5ゲーム差(18日現在・以下同)をつけた。混戦から抜け出しかかっているが、今季はどのチームも連勝、連敗を続ける傾向があり、まだまだ優勝の行方は分らない。

 一方、パ・リーグの優勝は福岡ソフトバンクで確定だろう。2位の北海道日本ハムに9.5ゲームもの大差をつけ、マジックも29。投手陣の充実度から見て連敗は考えづらく、9月半ばにはリーグ優勝を決めてしまいそうだ。日本ハムの2位もほぼ決まり。残る見どころはクライマックス・シリーズ挑戦権がかかる3位争いだが、これも千葉ロッテが有利だ。

三木谷オーナーの現場介入にブチ切れ?
田代打撃コーチが突然の退団の波紋

楽天球団・三木谷氏に見る「現場介入型オーナー」の是非

 勝負事の常で成績が振るわないと、その責任を誰かがとることになる。開幕から負けが込み最下位を続けているオリックスは6月に森脇浩司監督が辞任したが、5位に沈んでいる東北楽天・田代富雄打撃コーチの突然の退団(7月30日)は大きな話題になった。表向きの理由は「打撃不振の責任をとって」だが、多くのメディアが「三木谷浩史球団オーナーの度を超えた現場介入に田代コーチがブチ切れた」と報じたからだ。

 では、どのような現場介入があったのか。各メディアの報道を見ると、先発オーダーの変更の指示まであったという。先発オーダーは打撃コーチが練習での選手の調子や相手投手との相性などを考慮に入れて監督(楽天の場合は大久保博元監督)に進言、それを参考に監督が決めるものだが、楽天ではそれを三木谷オーナーがチェックすることが慣例化されダメ出しされることもよくあったらしい。また、1軍と2軍の選手の入れ替えの指示もあったという。

 大久保監督も現場スタッフの意見を尊重し、抵抗を試みたようだが、最高権力者のオーナーの命令には抗しきれず、従うケースが多くなる。現場を預かるコーチングスタッフはこの道のプロだ。プライドもあるし、日々接している選手たちの心情も理解している。それを野球に関しては素人のオーナーにないがしろにされたうえ、指示された通りのオーダーで結果が出なければ現場の責任にされてしまう。

 最終的には打撃不振の責任を取る形で2軍打撃コーチへの降格が引き金になったようだが、こんな仕打ちをされたら「やってられるか」と思うのも当然である。この事態を受けて、アマチュア野球関係者からは「楽天には選手を入れたくない」という声が出ているという報道もあった。オーナーの行動で楽天には逆風が吹き始めているのだ。