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鈴木寛「混沌社会を生き抜くためのインテリジェンス」

プロ野球発の社会革命だった“事件”から10年
旧勢力との苦闘がもたらした「社会的遺産」

鈴木寛 [文部科学大臣補佐官、東京大学・慶応義塾大学教授]
【第12回】 2014年7月24日
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ソーシャルイノベーターの総力戦
2004年プロ野球史上初のストライキ

 こんにちは鈴木寛です。

 サッカーW杯ブラジル大会はドイツがアルゼンチンを下し、24年ぶり4度目の栄冠を勝ち取りました。前回のコラムで書いた通り、世界3大リーグの母国であるイングランド、スペイン、イタリアがグループリーグで敗退したなかで、自国選手の育成を着実に行ってきたドイツが優勝したことは、サッカー界の潮目が変わる契機となるでしょう。

 W杯が終われば、今年のスポーツの残りの見所は野球です。高校野球の地方大会が開幕し、プロ野球はオールスターが終わって後半戦に入りました。そんな野球シーズンもたけなわの先日、都内で懐かしい面々が集いました。

 楽天球団が誕生するきっかけとなったプロ野球ストライキから今年でちょうど10年。その“仕掛人”たちが集まって同窓会を開き、ブラジルから帰国したばかりの私も参加し、スト当時の選手会長だった古田敦也さん、後に楽天球団で創業メンバーを統率した小澤隆生さん(現ヤフー執行役員)、はじめ私の多くの教え子のみなさんらと旧交を温めました。その席で古田さんからは「みなさんがプロ野球を救ってくれた。ありがとうございました」と厚く御礼いただきました。

 ストライキから10年経ちますし、当時は政治家だった私がなぜ「同窓生」に名を連ねたのか不思議に思う方もいると思います。三木谷さんは球団のオフィシャルブック等で「プロ野球界は日本社会の縮図。旧体制の仕組みのなかで、改革のエネルギーを失い、衰退しようとしている」と指摘していますが、大新聞社や伝統的企業を親会社とする旧勢力との戦いを勝ち抜き、12球団体制を維持、新興企業の球界参入を実現するには、スポーツが政治とビジネスの担い手とタッグを組んで知恵を絞り、古田敦也という名将を支える必要がありました。まさにソーシャルイノベーターたちの総力戦です。

 ちょうど節目の年を迎えたこと、戦後の日本社会、日本経済の転換点を象徴する事件としての歴史的意義を鑑み、初めて明らかにする話も含めてプロ野球史上初のストライキ事件を振り返ります。

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鈴木 寛 [文部科学大臣補佐官、東京大学・慶応義塾大学教授]

すずき・かん/元文部科学副大臣、参議院議員。1964年生まれ。東京大学法学部卒業後、86年通産省入省。2001年参議院議員初当選(東京都)。民主党政権では文部科学副大臣を2期務めるなど、教育、医療、スポーツ・文化を中心に活動。党憲法調査会事務局長、参議院憲法審査会幹事などを歴任。13年7月の参院選で落選。同年11月、民主党離党。14年から国立・私立大の正規教員を兼任するクロス・アポイントメント第1号として東京大学、慶応義塾大学の教授に就任。同年、日本サッカー協会理事。15年2月から文部科学大臣補佐官として大学入試改革などを担当している。


鈴木寛「混沌社会を生き抜くためのインテリジェンス」

インテリジェンスとは「国家安全保障にとって重要な、ある種のインフォメーションから、要求、収集、分析というプロセスを経て生産され、政策決定者に提供されるプロダクト」と定義されています。いまの日本社会を漫然と過ごしていると、マスメディアから流される情報の濁流に流されていってしまいます。本連載では既存のマスメディアが流す論点とは違う、鈴木寛氏独自の視点で考察された情報をお届けします。

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