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「日本」を考える~私たちはどこへ向かうべきか

安保法制と安倍談話で考える、
日本は「あの戦争」から学んでいるか?(上)

政治ジャーナリスト・松井雅博

松井雅博 [政治ジャーナリスト]
【第11回】 2015年8月18日
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あの戦争から「学んでいる」人は
実際にどれだけいるのだろうか?

安保法制、戦後70年談話を巡る政府の対応を見る限り、日本に対する根強い不信感が諸外国から消えないことも、仕方がないことのように思える(写真:首相官邸HPより)

 敗戦から70年の月日が流れた。

 1945年8月15日正午、昭和天皇がラジオを通じて全国民に敗戦を伝えた。日本は、アメリカ、イギリス、中華民国らが無条件降伏を求めたポツダム宣言を受諾。第二次世界大戦が終わった。

 新憲法が公布され、日米同盟の下、長らく平和を謳歌していた日本の安全保障政策が今、大転換されようとしている。それが、衆議院を通過し参議院で激論が続いている「安保法制」だ。「国民の理解が十分進まない中で法案の審議だけが進められている」と危惧する世論は多い。

 そして、安保法制と時を同じくして注目を浴びたのが、去る8月14日に安倍総理が出した「戦後70年談話」である。談話の内容については「村山談話」「小泉談話」の流れを踏襲したものと評価する声がある一方、中国をはじめ「過去の談話を引用しただけで、安倍総理自身の意思が明確に伝わらない」という批判もまた、少なくない。

 この安保法制、戦後70年談話を巡る政府の対応を見る限り、日本に対する根強い不信感が諸外国から消えないことも、仕方がないことのように思える。

 こうした状況に鑑み、筆者はふと思うことがある。終戦記念日のこの時期、マスメディアで特集されることが多い「戦争からの学び」「戦争の反省」とは、具体的に何なのだろうか、と。

 安倍首相が発表した「戦後70年談話」に関するTwitter上でのつぶやきについて、ビッグデータ技術を用いて上位10件を抽出したのが、次のグラフである。

 集計した株式会社ルーターの山本有悟取締役CTOによれば、「安倍首相の談話が放送された直後から、1時間あたり数万件のペースでツイートされた。放送直後はマスコミ報道の仕方に対するものが多かった」と言い、「おおむねTwitter上では談話への支持が多い」とのことだった。

 これを見る限り、談話に対して好意的、あるいは中立・賛否両論があるツイートのリツイート数が、批判的なそれを大きく上回っていることは一目瞭然だが、SNSユーザーの関心が「支持」にここまで傾いている状況には、正直、違和感がある。また、中国から要求されていたキーワードがいくつ談話に入っているか、その数を数えるといったマスコミ報道が「お粗末だ」と批判する声もネット上に溢れた。こちらも、少し表面的な議論に過ぎないように筆者には思える。

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松井雅博[政治ジャーナリスト]

まつい・まさひろ/1979年6月14日生まれ。慶應義塾大学理工学部卒。工学・教育学の2つの修士号を持つ。国家公務員1種法律職試験合格(政策秘書資格取得)。国連英検A級。マッキンゼーアンドカンパニーなどグローバル企業での勤務を経て、国会議員政策担当秘書として政界へ飛び込む。35歳の若さで、第47回衆議院議員選挙に兵庫10区(加古川市、高砂市、稲美町、播磨町)より出馬し、5万1316票を獲得するも落選。一民間人の感覚で政治の現場や裏側を見た経験を活かし、これまでブラックボックスだった政治の世界をできる限りわかりやすく面白く伝えることに情熱を燃やす。


「日本」を考える~私たちはどこへ向かうべきか

異例の延長国会で審議が続けられる安保法制、日中・日韓関係の緊張が続くなかで予定される安倍首相の「戦後70年談話」をはじめ、戦後長らく続いてきた日本の国家体制や国のポリシーを問い直そうとする動きが、足もとで出始めている。戦後70年を迎えた今、我々日本人が改めて日本という国の「形」を問い直すべき時期に差しかかっている。これまでの歴史的教訓も踏まえながら、日本はこれからどんな道を歩んでいくべきだろうか。様々な分野の識者が、独自の視点から「持ち続けるべき日本観」「新しい日本観」について提言する。読者諸氏も、ともに「日本」を考えてほしい。

「「日本」を考える~私たちはどこへ向かうべきか」

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