経営 X 人事

自ら手を挙げた人に
チャンスを与える

 ソフトバンクの人材開発の大前提に、「自ら手を挙げた人にチャンスを与える」というポリシーがあります。

 やりたい人が手を挙げてこそ、施策に参加できる権利が得られるという方針です。これが弊社らしい最もユニークなところだと思います。

 ソフトバンクユニバーシティ(※以下、SBUと表記)は、グループ社員向けの研修機関という位置付けです。

 経営理念の実現に向けた人材育成をしたい、という思いで、社内研修を中心に実施しています。

 現在、SBUでは年間で受講者数の総計、約1万人の集合研修を実施しています。

 約70コースの研修を提供していますが、カフェテリアのメニューのように豊富で、かつ自由にコースを選択できるようになっています。eラーニングも昨年実績で延べ140万回以上受講されています。

 SBUでは、新入社員研修から新任の課長・部長研修などのいわゆる階層別のコースもありますが、中心となっているのは選択して受講できるビジネススキル系の研修です。

 内容は英語系や統計学、マーケティング論など、自分に足りないスキルや補いたい能力を、いつでも学べる環境を整備しています。

 自分がプレゼンテーションのスキルを鍛えたいと思ったら、いつでもその研修が受けられますし、もっとコーチングスキルを磨きたければ、コーチングの勉強もできるわけです。

 他の多くの企業では、新入社員研修を比較的長期間実施した後、数か月後にフォロー研修を行い、その後、主任になったら研修、係長になったら研修というように、その後もずっと役職や段階ごとに研修が用意される、というのが一般的かもしれません。

 しかし弊社の場合は、こうした階層別の研修というものを、かなり少なめにしています

 「自ら取りに行く社員」の学習する環境を突き詰めて考えていくと、自らが学びたいスキルメニューを用意し、いつでも受講できる環境である体制の方がより合理的だと考えているわけです。

 他社と比較すると人事制度も「グレード認定制度」を導入しており、これは職能型ではなく、職務型なので、年齢に関係なく、この職務を遂行できる人にグレードが付いていくという制度です。

 「5年勤務したら、そのうちの何割かが全員主任になります」というような、枠で管理する人事制度とは異なり、若くても活躍する場が多くあり、チャンスは全員に与えられています。

 そのため、その人が必要としているスキルや能力も、個々によってまったく異なっています。

 そういうこともあり、われわれの場合においては、自身に足りないものを自ら取りに行くという方式のほうが有効だと考えているわけです。

 また、人材育成の基本は、OJTだと思いますが、非常に忙しい昨今では、常に上司や先輩が側にいてくれて、いつも教えてもらえる環境が存在しているかというと必ずしもそうとは限りません。

 そういう時に、自ら学習して状況を打破しようとする前向きな社員に、OFF-JTの場を通じてさまざまな学習機会を用意しておくことはとても大切だと考えています。

 また、ライフスタイルに合わせ、集合研修だけでなく、モバイルでいつでもどこでも学べるなど、多種多様な学習形態がそろっていることも社員の学びたいという欲求に応える意味で大事だと考えます。

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島村公俊

ソフトバンク株式会社人事本部人材開発部 ソフトバンクユニバーシティ立ち上げ時の研修内製化に従事。現在、社内認定講師(ICI)制度の企画、運営に携わり、100名を超える社内講師陣の育成も担当する。 2013年アジア初のPike's Peak Award、 2014年HRチャレンジ大賞人材育成部門優秀賞を受賞。 外部講演では、研修開発ラボ、慶應丸の内シティキャンパス、HRサミット、HRカンファレンス、東京都教育庁、早稲田大学など多数実施。最近は、教職員向け、大学生、高校生向けの講演会、ワークショップも実施している。社内外含め、累計登壇回数800回以上、受講者数1万8千人以上の登壇実績。

 


ソフトバンク流「研修内製化」の真実

企業の人事部門では今、「研修の内製化」がひとつのキーワードになっている。どちらかといえばそれは、教育コストの削減という経営の要請が発火点になっているが、一方では内製化をポジティブにとらえ、成果を上げている企業もある。5年ほど前から研修の内製化に取り組み、現在では100名を超える社内講師を抱えるソフトバンクは、その代表的な企業と言える。内製化を成功に導き、成果を上げる秘訣について、ソフトバンク人材開発部の島村公俊氏に語ってもらった。

「ソフトバンク流「研修内製化」の真実」

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