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「学び」はどこへ向かうか?――ITが拡張する教育の現場

動き始めた公立学校でのICT活用
前編:国の動向

野本竜哉 [iOSコンソーシアム文教ワーキンググループリーダー]
【第2回】 2015年8月31日
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前回の私立中学・高等学校におけるクラウドを活用事例を紹介したが、公立学校でも独自のアプローチでICT環境整備に挑む学校や自治体が登場している。これらの動きを前後編で紹介したい。前編の今回は、主に公立学校を取り巻く国などの大きな動きを解説する。

2020年度までに「小・中学生1人に1台」の
教育用コンピュータを

 最近、小中学生に1人1台のタブレットを2020年度までに配備するという話を聞くことがあるのではないだろうか。

 この方向性は、2010年5月11日に文部科学省のIT戦略本部(当時の名称)が決定した「新たな情報通信技術戦略(教育関連)」が発端だ。重点施策として「情報通信技術を活用して、i)子ども同士が教え合い学び合うなど、双方向でわかりやすい授業の実現、ii) 教職員の負担の軽減、iii)児童生徒の情報活用能力の向上が図られるよう、21世紀にふさわしい学校教育を実現できる環境を整える。」と宣言されており、その具体策として「児童生徒1人1台の各種情報端末」という文言が登場する。

「1人1台の情報端末」という構想が最初に中央省庁の資料として登場した”新たな情報通信戦略(教育関連)”の資料抜粋。原本はこちらを参照
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 これを受けてデジタル教科書・教材、カリキュラム錬成、指導者育成、学習指導要領の改訂準備などを検討するための組織や会議体が複数発足した。並行して、文部科学省、総務省、経済産業省等が予算を確保し、全国各地の「実証実験校」にICT機器を配備し、実際の教育現場での教育上の効果や課題の検証が行われ始めたのだ。

 ちなみに2010年はiPadが発売された年でもある。翌2011年は薄型軽量化しカメラが付いたiPad2や各種Androidタブレットが発売された「タブレット元年」だ。また、2010年には福岡県の学校法人 博多学園 博多高等学校、2011年には千葉県の袖ヶ浦高校のように、実証実験ではなく学校として独自にタブレットを導入するケースも出てくる。

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野本竜哉 [iOSコンソーシアム文教ワーキンググループリーダー]

のもと・たつや/一般社団法人iOSコンソーシアム文教ワーキンググループリーダー。大学受験時に数年来の疑問がweb上の動く教材で氷解した経験から、教育のITによる拡張を志向する。公教育から教育ベンチャー(EdTech)の動向の追跡や、企業と教育者を集めての月例勉強会、文科省協賛イベントへの出展などを主導している。


「学び」はどこへ向かうか?――ITが拡張する教育の現場

近年急速に進みつつある教育分野のIT化の現状について、特に小学生~高校生向け教育の現場と周辺の動きを取材。急速に動き出した私立学校のIT化に加え、公立学校(市町村・都道府県の教育委員会)で起きているITを活用した教育の“拡張”を紐解いていく。

「「学び」はどこへ向かうか?――ITが拡張する教育の現場」

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