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10年で企業システムの8割はクラウド化する
――将来を見据えたIIJの戦略

【特集・クラウドと、どう向き合うか(9)】

松岡 功 [ITジャーナリスト]
【第96回】 2015年9月1日
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クラウドコンピューティングは、ICTベンダー自身にも従来の製品販売からサービス提供へと、ビジネスの大きな転換を迫る。果たしてベンダー各社は、どのような事業戦略を描き、激戦市場を勝ち抜こうとしているのか。今回は、インターネットイニシアティブの取り組みを紹介する。

従来のクラウドサービスを刷新して
「One Cloud」戦略を展開

IIJの時田一広 専務執行役員クラウド事業統括 Photo:DIAMOND IT Business

 「これからはすべてのシステムをクラウドで利用していただけるようにする」

 こう語るのは、インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)でクラウド事業を統括する時田一広専務執行役員だ。同社は2015年10月から、「IIJ GIO(ジオ)インフラストラクチャーP2(以下、IIJ GIO P2)」と呼ぶ新たなクラウドサービスを提供開始する。時田氏の冒頭の発言は、この新サービスを発表した7月15日の記者会見で、顧客企業に対する同社の姿勢を明確に打ち出したものである。

 すべてのシステムをクラウドで利用できるようにするというのは、すなわち顧客企業のオンプレミス(従来の自社運用形態)システムを、すべてクラウドへ移行する支援を行うという意味である。逆に言うと、クラウド側でそれに対応する柔軟できめ細かいサービスを用意するということだ。新サービスのIIJ GIO P2は、それを具現化したものである。

 IIJはこれまでクラウドサービスとして、オンラインで手軽に導入できる「IIJ GIOホスティングパッケージサービス」と、多様なITリソースを組み合わせてシステムを構成できるオーダーメイド型の「IIJ GIOコンポーネントサービス」を提供してきた。IIJ GIO P2はこの2つのサービスを進化させ、より信頼性・処理性能を高めたパブリッククラウドと、オンライン申し込みで即時利用を可能にしたプライベートクラウドを1つに融合したサービスとして仕立て上げたものだという。

 具体的には、仮想サーバを中心とした共有リソースを提供する「パブリックリソース」と、仮想サーバ技術として広く使われている「VMware」を適用した仮想化環境と物理サーバを専有リソースとして提供する「プライベートリソース」、これら両リソースのサーバで利用できる「ストレージリソース」で構成されており、顧客企業は最適なリソースを組み合わせてシステムを構築できるとしている。また、外部接続性にも優れ、オンプレミスシステムや他社のクラウドサービスともシームレスな連携が可能だという。

 ちなみにIIJは、IIJ GIO P2と同時に、企業のネットワークに必要な機能を仮想化してクラウド上からオンデマンドで提供する「IIJ Omnibus(オムニバス)」と呼ぶ新たなネットワークサービスも発表。両サービスを合わせ、1つのクラウドサービスで幅広い顧客ニーズをすべてカバーする「One Cloud」というコンセプトを打ち出している。(図参照)

「One Cloud」を提唱する、IIJの新クラウドサービス「IIJ GIO P2」のコンセプト(出典:IIJの資料)
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松岡 功 [ITジャーナリスト]

まつおか・いさお ITジャーナリストとして複数のメディアにコラムや解説記事を執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などで記者およびIT系月刊誌の編集長を歴任後、フリーに。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。


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