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宿輪ゼミLIVE 経済・金融の「どうして」を博士がとことん解説

知られざる通貨。円も人民元も¥表示のなぜ?

宿輪純一 [経済学博士・エコノミスト]
【第18回】 2015年9月2日
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 通貨の番人IMF(国際通貨基金)総会が、1ヵ月後の10月8~9日にペルーの首都リマで開催されます。今回の話題はなんといっても、中国人民元のIMFの通貨SDRへの採用の検討でした。決定は延期になりましたが、今年は“通貨”の注目が格段に高まっています。

 今年は戦後70年ということですが、戦後の国際金融体制ブレトンウッズ体制の中核となるIMFは1946年に設立されました。

 今回は、国際通貨体制が大きく変わる予感がする中、大事だけれども、なかなか大学などでは教えてくれない“通貨”の基本的な知識を講義しましょう。

通貨の主役は銀だった

 紙幣のない中世では、世界各国の通貨(硬貨)の構成は、産出や加工の問題もあり、ほぼ、金・銀・銅であることが多かったのです。金の発掘量は少なく、現在まで通算でオリンピックプール3杯分しかありません。そのため、一般生活では銀がメインの通貨でした。

 銀という鉱物は、金ほどの貴重性はありませんでしたが、ある程度の量が採れ、耐用性もあり、有益な金属でした。金の黄金色ほどではありませんが、銀色は人を惹きつけました。“金”よりも使い勝手が “良”いから、漢字の“銀”になったともいわれています。殺菌性も高いため、食器(銀食器)にも使われました。最近でも、汗の臭いを消す消臭スプレーにも使われています。

 金は、少しずつではあっても広い地域で採取されましたが、銀の産地は限られていました。主たる産地は3地域。メキシコから南米、ドイツから東欧、そして日本です。

 ちなみに、南米のアルゼンチン(Argentina:Argentine)はラテン語で「銀」を意味します。銀の元素記号はAgです。

 銀はドイツから東欧で産出されましたが、メインの鉱山はボヘミア(現在のチェコ)のヨアヒムス・ターレル(ヤコブの谷)でした。その鉱山から採掘された銀で作られたということで銀貨には鉱山名を当てましたが、その名称がヨアヒムス・ターレルと長かったため、言いやすいようにターレル(銀貨)といわれることになりました。これが広がり銀貨、すなわち硬貨(通貨)の代表的な名称になりました。その後、読み方がターレル→ターラー→ダラー(ドル)となったのです。ちなみに“ドル”は日本固有のいい方です。

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宿輪純一[経済学博士・エコノミスト]

しゅくわ・じゅんいち
 博士(経済学)・エコノミスト。帝京大学経済学部経済学科教授。慶應義塾大学経済学部非常勤講師(国際金融論)も兼務。1963年、東京生まれ。麻布高校・慶應義塾大学経済学部卒業後、87年富士銀行(新橋支店)に入行。国際資金為替部、海外勤務等。98年三和銀行に移籍。企画部等勤務。2002年合併でUFJ銀行・UFJホールディングス。経営企画部、国際企画部等勤務、06年合併で三菱東京UFJ銀行。企画部経済調査室等勤務、15年3月退職。4月より現職。兼務で03年から東京大学大学院、早稲田大学、清華大学大学院(北京)等で教鞭。財務省・金融庁・経済産業省・外務省等の経済・金融関係委員会にも参加。06年よりボランティアによる公開講義「宿輪ゼミ」を主催し、4月で10周年、開催は200回を超え、会員は“1万人”を超えた。映画評論家としても活躍中。主な著書には、日本経済新聞社から(新刊)『通貨経済学入門(第2版)』〈15年2月刊〉、『アジア金融システムの経済学』など、東洋経済新報社から『決済インフラ入門』〈15年12月刊〉、『金融が支える日本経済』(共著)〈15年6月刊〉、『円安vs.円高―どちらの道を選択すべきか(第2版)』(共著)、『ローマの休日とユーロの謎―シネマ経済学入門』、『決済システムのすべて(第3版)』(共著)、『証券決済システムのすべて(第2版)』(共著)など がある。
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公式サイト:http://www.shukuwa.jp/    
連絡先: info@shukuwa.jp

 


宿輪ゼミLIVE 経済・金融の「どうして」を博士がとことん解説

「円安は日本にとってよいことなんでしょうか?」「日本の財政再建はどうして進まないのでしょうか」。社会人から学生、主婦まで1万人以上のメンバーを持つ「宿輪ゼミ」では、経済・金融の素朴な質問に。宿輪純一先生が、やさしく、ていねいに、その本質を事例をまじえながら講義しています。この連載は、宿輪ゼミのエッセンスを再現し、世界経済の動きや日本経済の課題に関わる一番ホットなトピックをわかりやすく解説します。

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