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宿輪ゼミLIVE 経済・金融の「どうして」を博士がとことん解説

中国が進める「IMFを活用した人民元基軸通貨化計画」

宿輪純一 [経済学博士・エコノミスト]
【第13回】 2015年6月17日
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今年10月のIMF総会が注目される理由

 IMF(International Monetary Fund:国際通貨基金)とは、為替相場の安定を目的とした国際機関で、通貨危機の時などに資金を融資し救済します。第2次世界大戦後、世界銀行などと共に、戦後の経済問題の処理を決めたいわゆるブレトンウッズ会議で創立が決定し、1947年(昭和22年)に業務を開始しました。現在の加盟国は国連加盟国193ヵ国とほぼ同じ188ヵ国です。

 その活動は、具体的には1980年代後半からの南米危機、90年代後半のアジア通貨危機、そして2008年のリーマンショック等で、国際収支が悪化し為替相場が大きく暴落した国に、救済的に融資を実施して、為替相場を安定させ経済を回復させました。もっとも、医療と一緒で、予防にも注力しており、加盟国の為替政策の監視とアドバイスを実施しています。

 SDR(Special Drawing Right:特別引出権)とは、なにか取っ付きにくい用語ですが、要はIMF活動における通貨(単位)のことです。通貨としての3文字の公式(ISO)な通貨コードはXDRとなっています。

 SDRは現在、主要4大国・地域の通貨(米国ドル、イギリスポンド、日本円、ユーロ)の加重平均である国際通貨バスケットとなり、他の通貨との交換が可能です。なぜ、この4通貨の通貨バスケットとなったか、その経緯は以下のようなものです。ブレトンウッズ体制は、金とドルがその拠り所となっていました。しかし、金の供給は不足し、ドルは米国の国際収支の悪化が著しく、60年以降は国際通貨制度(体制)が安定しませんでした。そこで安定的に多数の通貨のバスケットのSDRとして69年に発効(発行)されたのです。

 SDRの発効に際しては、当初、世界貿易において1%以上のシェアを持つ通貨を選び、加重平均しました。1980年までは16通貨のバスケットでした。1981年に評価方式の見直しがあり、輸出量が上位5位以内のIMF加盟国(アメリカドル、日本円、イギリスポンド、フランスフラン、ドイツマルク)通貨が選ばれました。以降5年毎に見直しが行われるようになりました。途中で、フランスフランとドイツマルクはユーロになり、4通貨になりました。この4通貨は基準通貨と呼び、「主要通貨」としての意味合いを持ちます。

 今年の第70回総会IMF総会は、リマ(ペルー)で10月9~11日に世界銀行総会と一緒に開催されます。ちなみにその前日の8日には、G20財務大臣・中央銀行総裁会議が開催されます。

 特に今年は5年に一度のSDRの見直しが行われるので、大変重要な総会なのです。現在のSDRの構成比率は、その通貨を発行する国又は地域の輸出額、および他国が所有するその貨幣の外貨準備高に基づき計算されます。現在は以下の様になっています。

 さらに構成通貨の変更も行われます。ここで人民元が基準通貨として採用されるかが議論されます。中国が進める「人民元基軸通貨化30年計画」では、このSDRに採用されるということが、中国にとってはきわめて大事な中間目標とみなしているのです(中国人民元基軸通貨戦略については本連載6回「人民元の基軸通貨化を進める中国の狙いを教えてください」をご参照ください)。

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宿輪純一[経済学博士・エコノミスト]

しゅくわ・じゅんいち
 博士(経済学)・エコノミスト。帝京大学経済学部経済学科教授。慶應義塾大学経済学部非常勤講師(国際金融論)も兼務。1963年、東京生まれ。麻布高校・慶應義塾大学経済学部卒業後、87年富士銀行(新橋支店)に入行。国際資金為替部、海外勤務等。98年三和銀行に移籍。企画部等勤務。2002年合併でUFJ銀行・UFJホールディングス。経営企画部、国際企画部等勤務、06年合併で三菱東京UFJ銀行。企画部経済調査室等勤務、15年3月退職。4月より現職。兼務で03年から東京大学大学院、早稲田大学、清華大学大学院(北京)等で教鞭。財務省・金融庁・経済産業省・外務省等の経済・金融関係委員会にも参加。06年よりボランティアによる公開講義「宿輪ゼミ」を主催し、4月で10周年、開催は200回を超え、会員は“1万人”を超えた。映画評論家としても活躍中。主な著書には、日本経済新聞社から(新刊)『通貨経済学入門(第2版)』〈15年2月刊〉、『アジア金融システムの経済学』など、東洋経済新報社から『決済インフラ入門』〈15年12月刊〉、『金融が支える日本経済』(共著)〈15年6月刊〉、『円安vs.円高―どちらの道を選択すべきか(第2版)』(共著)、『ローマの休日とユーロの謎―シネマ経済学入門』、『決済システムのすべて(第3版)』(共著)、『証券決済システムのすべて(第2版)』(共著)など がある。
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