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トンデモ人事部が会社を壊す

デキの悪いエントリーシートを使い続ける
人事部の怠慢

山口 博
【第30回】 2015年9月8日
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59資格の取得状況を入力
学生時代に取得できない資格も掲載

 「有利に就職活動を進めるためには、どのような領域で、何種類の資格を取得したらよいでしょうか」――。

 先日、W大学学部2年生のAさんから受けた質問である。「自分のやりたいことで、専門を極める中で、資格を取りたくなったら取ればよいと思いますよ」と回答したが、信念をしっかり持っているAさんがその質問をしたことを意外に思い、なぜ、そのような疑問に思ったのかを問いかけた。すると、予期せぬ答えが返ってきた。

無意味な項目ばかり記入させ、企業が本当に欲しい項目が欠けている−−。そんなエントリーシートを漫然と使い続ける人事部が少なくない

 「インターンの申し込みをしているのですが、エントリーシートに、とても多くの取得資格の入力欄があり、これは、取得資格の内容や数で選別をしているという企業からのメッセージだと思うのですよね」

 日頃から、説明されたり示されたりした内容から、伝えたいメッセージを読み取る演習プログラムを展開している私からは、なんとも頼もしい見解であったが、企業が伝えたいメッセージと、学生が受け取るメッセージとにギャップが生じている嫌な予感がし、エントリーシートの実物を見せてもらうことにした。

 それはなんと、経済、医療、情報処理、コンピュータなど6つの領域にわたり、59もの資格名が一覧となっており、取得した資格にチェックを入れるエントリーシートだった。それも、大手の人材採用広告・選考支援企業により、広く企業に提供され、多くの学生の、インターンのエントリーなどに使用されているシートである。中には公認会計士や一級建築士など、取得には実務経験が不可欠な資格も掲載されている。エンベデッドシステムスペシャリストやJavaプログラミング能力認定など、取得者が比較的希少な資格も記載されている。

 読者の中には、「あらゆる資格を網羅しただけでしょう。学生は取得資格をクリックするだけなので、シートに多数の資格が掲載されていることは、むしろ便利で学生にとって親切なことなのでは」と感じる方もいるかもしれない。確かに、選考支援企業の実務担当者が、汎用のシートとして、企業のニーズの最大公約数を満たすシートとして作成したものだろうと容易に想像できる。

 しかし、私は、このことは、トンデモ人事部がもたらした管理偏重症候群の重篤な症状だと思わざるを得ない。

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山口 博

やまぐち・ひろし/慶應義塾大学法学部政治学科卒(サンパウロ大学法学部留学)、長野県上田市出身。国内大手保険会社課長、外資系金融保険会社トレーニング・シニア・マネジャー、外資系IT人材開発部長、外資系企業数社の人事部長、人事本部長歴任後、現在、コンサルティング会社のディレクター。横浜国立大学大学院非常勤講師(2013年)、日本ナレッジ・マネジメント学会会員。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある。

 


トンデモ人事部が会社を壊す

サラリーマンの会社人生のカギを握る人事部。しかし近年、人事部軽視の風潮が広まった結果、トンデモ人事部が続々と誕生している。あっと驚く事例をひもときながら、トンデモ人事部の特徴や、経営陣がすべき対処法などを探っていく。

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