米国株式市場が軟調な動きを続けている。3月3日には、ついに5営業日連続の下げを記録。ニューヨーク・ダウ(工業株30種平均)は、前日比37ドル27セント安の6726ドル02セントと、実に1997年4月以来12年ぶりという記録的な安値で取引を終えた。

 これは、2007年10月9日に付けた史上最高値(14164ドル53セント)と比較すると、実に52.5%も安い水準である。

 ここまで下げてくれば、「十分に下げた」とか「調整は終わった」との見方が出てきそうなものだが、さにあらず。ほとんどの市場関係者たちは、まだ先行きに弱気だ。下値のメドを「5000ドル割れがあり得る」(米系金融機関エコノミスト)とする向きまで存在する。

 深刻なのは、こうした米国株の低迷が、米個人消費の冷え込みや米企業の設備投資の手控えを招き、これまでの予想を上回る米経済の縮小を引き起こす恐れがあることだ。

 一方の日本では、昨年9月のリーマン・ショック以来猛威を振るった製造業の在庫調整がようやく今年1-3月期でほぼ一巡して、4-6月期に減産幅の拡大が始まるのではないか、との期待が盛り上がっていた。

 しかし、とどまるところを知らない米国株の軟調が、日本経済底入れのシナリオを台無しにするのは、もはや確実だ。つまり、米経済の縮小は、外需依存度の高い日本経済のマイナス成長を一段と深刻化させる引き金になりそうだ。

オバマの金融・景気対策への
期待はずれが株安を加速

 2月19日。ニューヨーク・ダウ(工業株30種平均)は、リーマン・ショック後の最安値(昨年11月20日の7552ドル29セント)を割り込み、6年4ヵ月ぶりという安値を付けた。見逃せないのは、この日の下げを主導したのが金融株だったことだ。ダウ平均の算出銘柄の30社でみると、この日、最も下げ幅が大きかったのは、前日比14%安となったバンク・オブ・アメリカ株だ。これに13.8%安のシティグループ株が続き、さらに8.7%安のアメリカン・エキスプレス株が下落率3位で追った。